独BLUU Seafoodが培養魚のパイロットプラントを開設、3年後に従来品と同等価格の実現見込み
欧州最大の培養シーフード企業であるドイツのBLUU Seafoodが、ハンブルクに有するパイロットプラントの正式な稼動開始を発表しました。
研究設備も備えた同施設に本社を移転し、2025年のシンガポールでの市場投入に向けて準備を進めます。
3年で従来品と同等価格の実現へ
2,000平方メートルの敷地面積を誇る新工場には、最先端の研究施設、生産エリア、テストキッチン、オフィス用スペースを完備。当初65リットルのバイオリアクターから始めますが、年内に500リットル、2025年には2,000リットルへの拡張を予定しています。
Sebastian RakersとSimon Fabichが2020年に創業したBLUU Seafoodは、アトランティックサーモンとニジマスの細胞株を樹立して、筋肉、脂肪、結合組織を培養し、最初のプロトタイプを作製。
2022年8月に、欧州で初の培養シーフードとなるフィッシュフィンガー(白身魚のフライ、左写真)とフィッシュボールを発表しました。生産過程ではアニマルフリーの無血清培地を使用し、植物由来の成分と混合したハイブリッド製品に仕上げています。
これと並行して、サーモンの刺身とニジマスのフィレの試作品開発も進行中。共同創業者でCEOを務めるRakersは、「拡張性と市場条件が整えば、最短で3年後には魚の卸売価格と同じ価格で培養魚を提供できるようになるだろう。新拠点開設は、この目標に向けての重要な一歩だ」と語っています。
シンガポールでは来年の認可取得を予定
BLUU Seafoodはすでにシンガポールで販売認可の申請を行っており、当初の予定からは多少後ろ倒しになっていますが、2025年初頭に認可を得られる見込み。昨年6月には、米国で培養魚の規制認可を管轄する米国食品医薬品局(FDA)への申請も済ませています。
また、欧州企業として当然EUでの発売も視野に入れてはいるものの、「認可プロセスが複雑であることから、EU圏外の英国やスイスに焦点を当てることになるだろう」とCEOのRakersは述べています。
英国では特に、培養肉関連の話題が盛り上がりを見せており、先日イスラエルで培養牛肉の認可を得たAleph Farmsも、昨年申請を実施。培養ペットフードを共同開発するMeatlyとOmniは、数カ月以内の認可取得を見込んでいます。
参考記事:
BLUU Seafood Expands Cultivated Fish Production in Preparation for Market Entry, Predicts Price Parity With Fish Within 3 Years
Bluu Seafood Opens Europe’s First Cultivated Seafood Facility, Eyes Singapore Launch in 2025
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