精密発酵を手掛けるチリのLuyefが、培養肉の原料開発で約2億円の補助金を獲得
南米チリの首都サンティアゴを拠点とするバイオテクノロジー企業のLuyef(旧称:Luyef Biotechnologies)が、培養肉生産を加速させるため2件の補助金申請を行い、計125万ドル(約1億9,100万円)を獲得しました。
精密発酵ヘムの商品化に成功
Luyefは、チリ大学を卒業したKris Blanchard、Andrea Villanueva、María Soledad Gutiérrezが2020年に共同で創業。2022年には、ラテンアメリカのバイオテクノロジー業界における規模拡大を支援するベンチャーキャピタル、The Ganesha Labのアクセラレータープログラムに参加していました。
同社は、培養肉生産の商業レベルへのスケールアップを助けるため、精密発酵により動物性タンパク質を生産。植物性代替肉・培養肉製品の味と色を向上させるウシミオグロビンの成分(ヘム)を「TAMEE」ブランドで商品化しました。
Pitchbookによると、同社はSustainable Food Ventures、Big Idea Venturesなどから支援を受けており、現在は400万ドル(約6億1,100万円)を目標にシードラウンドの調達を模索中。
フランスのHello Tomorrowが選ぶディープテック界のパイオニア企業のリストにも名を連ねるなど、注目を集めています。
培養肉生産の低コスト化と規模拡大を支援
補助金のうち約100万ドルは、政府機関のチリ産業開発公社(CORFO)が拠出したもので、精密発酵により安定した成長因子を生産するための、コスト効率が高く持続可能なプラットフォームの開発に充当される計画です。
残りの25万ドルは、代替プロテイン界のシンクタンクThe Good Food Institute(GFI)が提供しました。こちらは、ルパン豆の廃棄物をアップサイクルして得られる新規の加水分解物と脂質産生酵母を使用した、手頃な価格の栄養豊富な培地サプリメントの開発を目的としています。
いずれも、細胞の成長を促進するため培地に添加する、コストのかかる原料や動物由来成分を代替することが狙い。低コスト化と持続可能性を追求しながら、培養肉生産のスケーラビリティを高める試みです。
参考記事:
Luyef Biotechnologies secures $1.25 Million in grants to advance cultivated meat production « The Ganesha Lab
Chile’s Luyef Receives $1.25M to Develop Nutrients for Cultivated Meat Using Fermentation and Agro By-Products
Cell-cultivated meat co. Luyef Biotechnologies raises $1.25m
Building the next generation of alternative protein innovators – The Good Food Institute
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