細胞培養カカオを開発するイスラエルのCelleste Bio、米モンデリーズのVC部門などから約7億円を調達

培養カカオを開発するイスラエルのCelleste Bioが、シードラウンドで450万ドル(約6億9,200万円)の調達を行ったと発表しました。

チョコレート大手モンデリーズからの支援も


このラウンドは、アーリーステージの企業に投資をするSupply Change Capitalが主導し、米モンデリーズ・インターナショナルのベンチャーキャピタル部門、SnackFutures Venturesなどが参加しました。

Celleste BioのCEOを務めるMichal Beressi Golombは、「気候変動と従来型の農業により熱帯雨林が枯渇した結果、1,000億ドル(約15兆4,000億円)規模に成長しつつあるチョコレート産業のニーズを満たす量のカカオを栽培することが、かつてないほどの難題となっている。今回の調達ラウンドは、製品開発、拡張性、商業化を加速させるために必要な財務的・戦略的支援となるものだ」とコメントしています。

この重要性を認識するSnackFutures Ventures副社長のRichie Grayは、「世界最大のチョコレートメーカーの一つとして、ミルカ、キャドバリー、トブラローネといったブランドの生産を行うと同時に、ビジネス、消費者、環境に良い影響を与えるためには、サプライチェーンの課題を克服する必要があることを痛感している」と述べました。

昨今、企業の気候変動への取り組みが厳しく問われている中で、同社の目標は、科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)により検証されたものでありながら、世界の気温上昇を1.5℃に抑えるために必要な水準に比べてはるかに低いとの批判を受けています。

2018〜22年にかけて同社の年間排出量は0.7%しか削減されておらず、当初の目標としていた20%以上を大幅に下回っているのが現状。この問題に対処するため、今回2回目となるCelleste Bioへの投資を決めています。

気候変動でも生産量の落ちない培養カカオ


持続可能なカカオ供給の実現を使命とするCelleste Bioは、Hanne VolpinOrna HarelAvishay LevyDaphna Michaeliの4人により2022年に設立されました。

カカオ産業は近年、気候変動により大きな問題に直面。供給不足はカカオ価格の高騰や生産面積を増やすための森林伐採を招き、さらなる環境悪化を引き起こすという悪循環に陥っています。

Celleste Bioは、従来の栽培手法に代わって、植物細胞の培養に人工知能(AI)を活用するプラットフォームを開発し、気候にかかわらず一年中屋内のバイオリアクターで天然のものと同じカカオを生産。

カカオ豆から抽出した細胞を栄養豊富な溶液に漬け、制御された環境下で増殖させます。同社によると、従来は年間2トンのココアバターを作るのに4トンのカカオの実を必要としていたところ、同量の生産に1〜2粒のカカオ豆があれば十分とのこと。

このプロセスは世界中のどこでも行うことができ、成長を続けるチョコレート業界に必要なカカオ生産の未来を守るソリューションとして期待されます。

参考記事:
Celleste Bio Secures $4.5M to Scale Production of Cell-Cultured Cocoa, Mondelēz VC Arm Participates
Mondelēz Invests in $4.5M Round for AI-Led Cell-Based Cocoa Maker

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