植物肉で米NASDAQ上場のBeyond Meat、収益と損失のギャップ縮小を報告、黒字転換なるか

2009年創業、2019年に関連企業として初のNASDAQ上場を果たしたBeyond Meat。同社CEOを務めるEthan Brownは、アナリストに対して、製品の販売数が減少した中でも営業損失が縮小したことを受け、同社は「ターニングポイントを迎えている」と語りました。

営業経費を大幅に削減


2023年第1四半期の決算報告によると、売上高は9,220万ドル、前年同期比15.7%の減少となりました。重量ベースでは約1,980万ポンド(約8,980トン)と、同7.3%の減少。しかしながら、純損失は前年同期の1億50万ドルに対し、5,900万ドルまで低下。2023年末までにキャッシュフローを黒字化するという目標の達成に向けて、前進が見られます。

マイナスの数字ばかりが並ぶ決算報告書が賞賛されるというのは、現在の植物性代替肉を巡る状況をよく表しています。植物性代替肉市場の成長はここ18カ月で大きく鈍化し、Beyond Meatの売上と収益も急落しました。

同社は、昨年8月と10月に実施した人員削減を含め、営業経費を大幅に削減。今年に入っても製造委託先との契約を終了させ、8社から3社へと減らしています。

この結果、2023年第1四半期において、営業費用は前年同期比で3,400万ドル減少し、35%の削減。現金使用総額は4,860万ドルで、前年同期比74%減となりました。

また、決算発表後、バランスシート改善に向けて2億ドルを上限とする株式発行をアナウンスしています。

新製品投入も、投資家は否定的な反応


米国では、小売業、とりわけ最も売上が落ち込んでいる冷蔵の代替ひき肉製品に注力する同社。Brownは、「消費者を呼び戻すには、誤解を解くことが重要なポイント」と言います。原材料や製造に関する誤解をなくすべく、消費者に製品の味と健康上のメリットを理解してもらうためのマーケティング活動に取り組んでいます。

海外においては、外食産業向けの売上を伸ばす取り組みを進めています。同社製品は、欧州数カ国の大手QSR(クイックサービスレストラン)チェーンのメニューにも採用。ここでは前年から唯一、売上を2倍近く伸ばし、2023年第1四半期には1,910万ドルに達しました。欧州の消費者が植物性代替肉を受け入れていることの表れと見られます。

収益目標の達成には、長期的にさらなる売上増が必要な状況ですが、Brownはその実現を確信していると言います。

今年の夏には、外食・小売り冷凍の両方で、より肉らしい味わいにアップデートした「次世代」バーガーを米国で発売予定。マーケティングキャンペーンや、健康面に関する第三者機関の調査と相まって、売上が伸びることを期待しています。

投資家はこのニュースに否定的な反応を示し、同社の株価は12%以上下落。アナリストは、同社は成長に向けて正しい道を歩んでいるように見えるが、そこに至るのは長い旅路になるだろうと述べました。

独自の財務的・社会的利益をもたらし得るカテゴリーながら、同社が現金創出と持続可能な成長へと軸足を移すには、しばらく時間がかかるとの見方が主流のようです。

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