米国で植物性代替肉の食感を改善する、AI&機械学習プロジェクトが始動

米国の非営利団体Food System Innovations(以下、FSI)が、人工知能(AI)と機械学習の専門家Noa Weissとの提携により、植物性代替肉の押出成形と食感を最適化する次世代技術を活用したプロジェクト「GreenProtein AI」を発表しました。

押出成形の低コスト化という課題を解決


さまざまな調査結果から、消費者が植物性代替肉に求めるものの上位に、味と食感が挙げられることが分かっています。ヴィーガン認証機関のV-Labelが昨年行った調査でも、消費者の75%が植物性代替肉の食感を、従来の代替品と同様に重要と回答。にもかかわらず、現状の代替肉の食感に満足していると回答したのは、60%程にとどまっていました。

GreenProtein AIの立ち上げメンバーは、代替肉ブランドは「食感の最適化に関する特有の障壁」に直面しているといいます。その大きな理由となっているのが、製造時の高水分押出成形にかかる高いコスト。

高水分押出成形とは、低水分押出成形(乾燥した製品に使用される)やシアーセル(shear cell)法*1 と並んで、植物性原料を繊維状の肉へと変える主要な技術の一つです。しかしながら、高水分押出成形は植物性代替肉の生産に最も広く使用されている一方で、CO₂排出量が多く、非常に高価だという難点がありました。

AI予測モデルを企業向けに提供


今回開発されたGreenProtein AIの目的は、機械学習アルゴリズムを活用して、押出工程の複雑さを解明すること。温度、圧力、速度などの主要なパラメータを微調整し、「ブラックボックス」となっている押出成形機の内部を最適化された透明性の高いシステムに変えることで、食感の改良における技術革新を長年妨げてきた高コストという障壁を打破することに焦点を当てています。

すでに押出成形を行う施設や植物性代替肉メーカーと協業の交渉を進めており、より予測可能で効率的な生産工程を確立するためのインサイトとソリューションを提供することを目指します。

AIによる予測モデルの活用により、代替肉メーカーは押出工程をシミュレートすることが可能に。物理的試験をより精緻に計画することで、コストのかかる試験の実施を最小限に抑えることができます。

プロジェクトリーダーのWeissによると、GreenProtein AIは低水分押出成形にも焦点を当てているとのこと。

FSIの代表を務めるMax Elderは、先月事業を停止したヴィーガンチキンのスタートアップNowadaysの創業者。「Nowadaysがもし存続していれば、GreenProtein AIの構築した予測モデルから大きな恩恵を受けることができただろう」と語っています。

*1 2つの円筒が入れ子式になったシリンダーを使い、中の円筒が回転した際に間に生じるせん断力によって、代替肉の食感を作る技術。

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