米Beyond Meat、第3四半期の売上高26.2%減で通期見通しの修正と追加レイオフを実施
植物性代替肉大手の米Beyond Meatが、2023年第3四半期の売上高が26.2%減の7,530万ドル(約112億円)に落ち込んだと発表しました。
通期の売上高予測の下方修正と、従業員の8%を解雇するコスト削減プログラムの実施に加え、一部製品ラインの見直しと値上げも検討しています。
広告キャンペーンが振るわず通期予測を再度引き下げ
Beyond Meatは、第2四半期の決算報告において、前年同期比30.5%減となる売上高1億210万ドル(約152億円)、純損失5,350万ドル(約79億8,000万円)を計上。売上総利益は改善したものの、2023年下半期にキャッシュフローを黒字化するという目標は断念していました。
第3四半期では、原材料の生産農家を紹介する「There’s Goodness Here」キャンペーンを展開し、消費者が求める健康面のメリットを強調しているにもかかわらず、その販促効果が予想を下回ったことで期待した成長を達成できませんでした。
第3四半期の売上高は、前年同期比8.7%減、第2四半期と比べて26.2%減となる7,530万ドル(約112億円)。粗利益は730万ドル(約10億9,000万円)の赤字でした。
2023年通期の売上高予測を3億3,000〜4,000万ドル(約492億〜507億円)へとさらに引き下げ、売上総利益がゼロになると予想しています。
キャッシュフローは760万ドル(約11億3,000万円)の黒字となったものの、これは現金消費削減のための継続的な対策を反映したものであるとし、第4四半期も黒字を維持できるとは考えていません。
植物性代替肉カテゴリーは需要の減退が続く
Beyond MeatのCEOを務めるEthan Brownは、「第3四半期には緩やかな成長への回復を見込んでいたが、実現しなかった」と述べています。
同社は、米国の小売り・外食チャネルにおける販売量が予想を下回ったことについて、「主に植物性代替肉カテゴリーにおける継続的な需要の減退を反映したもの」と指摘。加えて、主力商品以外の品揃えが増加したことで、「Beyond Burger」や「Beyond Sausage」など主力商品の売上低下につながったとしています。
今年初めにMintelが米国人1,400人を対象に行った調査では、今年に入って肉を減らす食生活を続けたのはわずか20%にとどまり、インフレの影響で53%の消費者が植物性食品のような新しい食品を試す頻度が減っていることが明らかになりました。
Gallupが行った1,000人規模の世論調査によると、米国では今年、ヴィーガン人口が10年ぶりの低水準に達しており、ベジタリアンも5年前に比べて減少しているといいます。
新たな人員削減と事業の見直しに着手
Brownは、「コスト構造を改善するため、さらに大規模な営業費用の削減を追求する」と述べており、昨年行った200人を超える人員削減に続き、全体の8%にあたる約65人を新たに削減する計画です。
この人員削減の結果、退職金その他の関連費用として、約200万~250万ドル(約2億9,800万〜3億7,200万円)の一時的な現金費用が発生すると予測。その大部分は第4四半期に発生する見込みですが、現地の法律や協議要件により、一部の国では年末を越えて手続きが延長される可能性もあります。
カテゴリー全体の低迷により、同業のImpossible FoodsやMeati Foodsもコスト削減の一環として人員削減に踏み切っており、ヴィーガン・チキンナゲットのNowadaysのような事業を停止した企業も複数出現しています。
Beyond Meatは、一部製品ラインの見直しと値上げを伴う世界的な事業の見直しに着手して、売上総利益率の拡大とキャッシュの創出を優先させる計画。特定の成長機会に焦点を絞って商業活動を行うとしています。
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