米The EVERY Companyが、精密発酵による世界初の液卵「EVERY Egg」を発表
米国のバイオテクノロジー企業The EVERY Companyが、精密発酵により作られた世界初の液卵「EVERY Egg」を発表しました。来年にも外食産業向けの発売を予定しています。
9年にわたる開発期間を経て製品化に成功
The EVERY Companyは2014年の創業以来、タンパク質生産から動物を切り離すべく、Komagataella phaffiiと呼ばれる酵母株を用いたスケーラブルな発酵プラットフォームの開発に従事。
9年間にわたる製品開発と、女優のアン・ハサウェイ、酒類メーカーのアンハイザー・ブッシュ・インベブといったさまざまな投資家からの累計2億3,300万ドル(約340億円)に上る資金調達を経て、史上初の液卵製品の実現にたどり着きました。
米国で精密発酵食品の販売認可を得ているスタートアップ企業は数えるほどで、同社は2023年12月現在、卵白タンパク質で唯一の認可取得企業となっています。
同社は2021年に、アニマルフリーの卵白タンパク質「EVERY ClearEgg(現:EVERY Protein)」を世界で初めて商品化。その後もペプシン、スムージー、マカロン、缶入りアルコール飲料などを市場に投入してきました。
今年10月には、コロンビアの食品加工大手Grupo Nutresaと提携し、卵白タンパク質を「つなぎ」として使用した代替肉製品の共同開発に着手しています。
NYの植物性食品レストランで披露
The EVERY Companyによると、EVERY Eggは通常の卵と同様、幅広い料理に使用でき、溶き卵の代替品として機能するとのこと。
精密発酵により得られたオボアルブミンと植物由来の原料(風味と食感の向上が目的)を組み合わせた製法で、1食あたりのタンパク質含有量は8g(通常の鶏卵は5〜8g)。コレステロール、飽和脂肪酸、人工香料は含んでいません。
EVERY Eggが初披露されたのは、先週のこと。ミシュランの三つ星を獲得したニューヨークの植物性食品レストラン「Eleven Madison Park」で、一流の料理研究家やシェフを招いた一夜限りのディナーとして提供されました。
シェフのDaniel Hummは、「EVERY Eggを使ってオムレツを作ったところ、その味と多用途性は通常の鶏卵と全く見分けがつかないほどだった」と語っています。
The EVERY Companyは外食産業のパートナー企業と提携を進めており、2024年にレストランでの一般提供を目指しています。
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