韓国で植物性食品における「牛肉」「豚肉」などのラベル表記が禁止に

韓国の食品医薬品安全処(以下、MFDS)が先月末、植物性食品の表示に関するガイダンスを発表。伝統的な動物性食品との混同を避けるため、「牛肉」「豚肉」「牛乳」「卵」といった、通常の動物性食品に用いられる名称の使用を禁止しました。

欧州各国に続く禁止措置


2023年を通じて、フードシステムの変革を推進するため、代替プロテイン製品の規制基準制定に積極的に取り組んできた韓国政府。つい先日、植物性食品の消費拡大を奨励する画期的な国家計画を導入したところであったため、今回の新規則制定はやや驚きのニュースとなりました。

韓国のほか、ポーランド、フランスイタリアの各政府が、消費者は現在の植物性食品の表示に混乱していると主張しており、同様の規制を推し進めています。

しかしながら、「ヴィーガン」「ベジタリアン」「植物性」などの表示について、製品の性質を理解・識別するのに役立っていると多数(76%)が回答した調査結果もあるなど、現行の表示が必ずしも消費者の混乱を招いているとはいえない状況。

政府による規制が強まっていることの背景には、食肉や乳製品の業界団体が、自身の産業を守るためにロビー活動を推し進めていることがあるとも指摘されています。

食材そのものの名称の使用を禁止


韓国の新規則では、牛肉、鶏肉、マグロなど、食材そのものの名称の使用が禁止される一方、料理名などの関連表現や、製品の性質を強調する名称、代替原料の名称の使用は認められている様子。

例えば、「植物性ハンバーグ」や「大豆ハンバーグ」などは問題なし。「ヴィーガンエッグ」は「卵」が入っているためNGですが、「植物性オムレツ」はOKとのことです。

今回具体的な規則が定められているのは、植物性食品のみ。同規制文書のQ&Aによると、細胞培養食品の詳細な仕様については、今後の商用化プロセスにおいて、さらなる協議を通じて決定する予定とされています。

細胞培養食品の規制枠組み構築が進む韓国


MFDSは、来年1月より発効する食品公定書(Korean Food Code)において、代替プロテイン製品の基準を制定。新基準によると、代替プロテイン製品は「動物由来原料の代わりに野菜、微生物、食用昆虫、細胞培養物を使用し、従来の動物性製品と同様の形状、味、食感を持つもの」と定義されています。

新基準ではまた、これらの製品の製造基準や技術仕様(滅菌製品における細菌数など)といった、基本的な要件も定められています。

細胞培養食品については、昨年5月にMFDSが食品衛生法を改正し、これらの新規食品を「暫定基準」に含めることで、同国の細胞培養食品の認可に係る規制枠組みを明確にしました。

その後10月に政府は、暫定基準に基づく細胞培養食品の申請書類作成のための公式ガイダンスを作成し、世界貿易機関(WTO)通知。細胞の調達元、製造工程、安全性に関するデータを含む、申請書類の詳細な要件を示しています。

細胞培養食品の申請書類要件は包括的であり、徹底した安全性評価を行うためには、広範な情報の収集・分析が必要。

細胞培養を手掛ける韓国企業には、CellMEATSeaWithSimple PlanetCellQua、3Dバイオプリンティングを活用するTissenBioFarmなどがありますが、業界では書類作成と審査に多大な時間を要し、承認スケジュールの長期化につながるとの懸念も。

このような懸念に対処するため、規制当局が事前相談や研修プログラムなど、企業が直面する現実的な課題に応えるための支援体制を整えることが必要との指摘もなされています。

参考記事:Korea Introduces More Rules to Enhance Oversight of Alternative Protein Foods

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