インド政府とNeat Meatt Biotechが、培養魚開発の官民連携プロジェクトを開始

インド農業・農民福祉省管轄の研究機関Central Marine Fisheries Research Institute(以下、CMFRI)が、ニューデリーに拠点を置く培養肉企業Neat Meatt Biotechとの協働で、培養魚を開発する先駆的なプロジェクトを開始しました。

細胞農業で気候変動と食料安全保障に取り組む


インドでは、魚の消費量がわずか10年余りで88%増加し、世界第3位の水産物消費国に。熱帯海洋研究の第一人者であるCMFRIは、乱獲や伝統的な漁法が環境に与える影響を軽減しつつ増大する魚の需要に対応するため、細胞農業の活用を企図しています。

このたびNeat Meatt Biotechと、インド沿岸で獲れるキングフィッシュのような価値の高い魚種の大規模生産プロセス開発に向けた覚書(MOU)を交わしました。

CMFRIが細胞株樹立のため遺伝学、生化学、分析学に取り組む一方、Neat Meatt Biotechが細胞を増殖させる培地の最適化、細胞を接着させる足場やマイクロキャリアの開発、商業規模の運転のためのプラットフォームの確立を行います。

CMFRIを主導するA. Gopalakrishnanは、今回の官民パートナーシップの構築は、インドと培養肉生産の先進国とをつなぐ重要なマイルストーンになると考えているとのこと。

すでに培養鶏肉を承認しているシンガポール米国、先日培養牛肉の安全性を認めたばかりのイスラエルといった国を見据え、世界的な進歩に後れを取らず、気候変動と食料安全保障の問題に取り組む意気込みです。

インドの代替プロテイン市場動向


GFI Indiaが昨年発行したレポートによると、同国の代替プロテイン市場は2030年までに42億ドル(約6,160億円)の経済機会を創出する可能性があり、Extrapolateによると、培養肉市場だけでも2030年までに20億ドル(約2,930億円)以上に達する見込み。

インドでは植物性食品市場が大きく、代替プロテインに携わる企業も113社が確認されていますが、培養肉・シーフードに取り組んでいるのはKlever Meat(培養シーフードを手掛けるインド初の企業)、Clear Meat(ウシ胎児血清不使用の培地開発)、MyoWorks(菌糸体を用いた食用の足場開発)など多くはありません。

インド食品安全基準局(FSSAI)は、培養肉をはじめとした新規食品の認可、生産、流通に関する規制枠組みの詳細を検討しているものの、現在のところ培養肉に係る申請書類が提出された例はない様子。

アジア太平洋地域で培養魚を手掛ける企業には、シンガポールのUmami BioworksShiok Meats、中国のCellXがあり、こうした企業が新たな進出先としてインド市場を検討することも考えられます。

参考記事:
In a first in India, CMFRI to develop lab-grown fish meat
India’s Central Marine Fisheries Research Institute Launches Pioneering Project to Cultivate Fish
‘Immense Potential’: Indian Government Body to Develop Cultivated Fish in Partnership with Neat Meatt

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