カーボンニュートラルオイルを開発するドイツのCOLIPIが、シードラウンドで約2.9億円を調達

革新的なガス発酵プロセスで石油やパーム油の持続可能な代替品を開発するドイツ企業のCOLIPIが、シードラウンドで180万ユーロ(約2億9,000万円)の調達を行ったと発表しました。

ハンブルク工科大学の研究からスピンオフ


COLIPIは昨年、ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)の実施する「EXIST」研究移転プログラムから追加資金を得て、合計410万ユーロ(約6億6,000万円)を獲得。

今回行われたシードラウンドには、High-Tech Gründerfonds(HTGF)、Innovationsstarter Fonds Hamburg(IFH)、Nidobirds Venturesに加え、エンジェル投資家のStefan De Loeckerが参加しました。

調達資金はチームの拡大、パートナー企業により生産された製品の市場テスト、1万リットルのパイロットスケールへの拡大に使われる予定です。

ハンブルク工科大学のスピンオフ企業として2022年に設立されたCOLIPIは、産業排気物や農業廃棄物の糖分を消費する酵母を用いた脂質の生産からスタート。

窒素とリン酸塩が消費されると増殖が止まり、残った炭素で脂質が形成されます。これを単離すると、酵母の種類にもよるものの、多くの植物油と非常によく似た性質を持つ物質が得られます。そればかりか、特定の用途により適した、全く新しい脂質を作り出すことも可能とみられていました。

ガス発酵によりカーボンニュートラルオイルを生産


しかしこの手法ではCO₂が発生してしまい、気候変動の抑制という本来の理念に反していたことから、COLIPIは新しくガス発酵プロセスを開発。特別に設計したバイオリアクターと、世界最速でCO₂を消費する細菌を組み合わせた手法で特許を取得しました。

空気から抽出またはろ過した炭素を原料に微生物を発酵させることで、石油やパーム油の代替品となる「Climate Oil」を生産。

食品や化粧品、持続可能な航空燃料(SAF)などさまざまな用途で原料としての活用が期待でき、CO₂排出削減と生物多様性の保全につながるこの技術開発により、「Future Hamburg Award 2023」でも受賞を果たしました。

2039年までに年間数百万トンの「Climate Oil」を生産し、その何倍ものCO₂排出を抑えることを目指しています。

参考記事:
Colipi transforms CO2 into sustainable oils | Startup City Hamburg
Colipi raises EUR 1.8 million in seed funding round | Hamburg News

関連記事

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。