スウェーデンのOatlyが2023年の決算報告を実施、増収するも工場の建設中止に伴う減損で損失は拡大

オーツミルクの製造・販売を行い米NASDAQに上場しているスウェーデン企業のOatlyが、2023年第4四半期および通期の決算報告を実施

通期では前年比8.5%の増収を記録した一方、3カ所の工場の建設を断念したことが主な要因となり、損失も2.7%拡大しました。

2024年の方針としては、新製品の導入や外食向け製品の最適化を行い、収益性向上に注力するとしています。

工場の建設中止で減損損失が発生


昨年6月に前任のToni PeterssonからCEOの座を引き継いだJean-Christophe Flatinは、2023年を「極めて重要な年」と位置付け。「事業を安定させ、長期的な成功に向けて適切なポジションを確保するため、組織全体の大幅な再調整を実施した」と振り返りました。

その結果、第4四半期では、売上総利益の改善と販管費の削減に関して予想を上回る結果が得られたとしています。

昨年第3四半期の決算発表後、Oatlyは黒字化に向けた新たな「アセットライト戦略」に沿って、英国、米国、中国の3カ所で進めていた工場建設の中止を発表。この結果、第3四半期は最終利益が4,400万ドル(約66億2,000万円)出ていたのに対し、第4四半期損失では2億9,880万ドル(約450億円)の損失に転じました。

このような経常外費用を差し引いた調整後EBITDAでは、損失は第3四半期から半減しており、長期的には前向きな動きを示しています。

なお、同社の累計損失計上額は3億9,250万ドル(約591億円)から6.2%増加し、2023年度末時点では4億1,700万ドル(約628億円)となっています。

欧州で好調も、アジアでは苦戦が続く


売り上げについては、第4四半期は外食(全体の38%)と小売(同59%)の両チャネルで増加。収益源の52%が欧州・中東・アフリカ(EMEA)に集中しており、32%がアメリカ大陸、16%がアジアとなっていました。

通年ではEMEAとアメリカ大陸でそれぞれ16%、12%の増収となった一方、アジアでは14%の減収を記録。コロナ後の回復が遅れ、ローカルの競合他社に市場シェアを取られているため、Oatlyは一貫した売上減少に苦しんでいます。

アジアでは第4四半期の売り上げの約73%が外食チャネルによるもの。決算コメントでは、アジアでの減少は主に「外食チャネルへ再注力するという決定に伴い、小売およびECチャネルで利益率の低い一部製品を廃止したことによるもの」とされています。

アメリカ大陸では、外食(50%)と小売(48%)がほぼ均等な割合。米国全体での植物性ミルクの小売売上は2022年比で7.2%減少したにもかかわらず、この流れに逆行してOatlyの米国における売り上げは12%増加しています。

欧州では依然として小売業の割合が高く80%を占め、市場シェアを独占しています。収益の増加は主に、年初に行った値上げによるものとのこと。ドイツ、オーストリア、スイス、オランダでは、昨年下半期に植物性ミルクでトップの売り上げを記録したといいます。

2024年は収益性向上に注力


Oatlyの株価は、製品回収、広告の表現を巡る訴訟(昨年末に勝利)、コロナ後の値上げなどにより少なからず打撃を受けており、英国では昨年、ヨーグルト「Oatgurt Plain」やアイスクリームの全製品を撤退。

今回の減益もマイナスに受け止められており、株価は2021年公開時の17ドルから大幅に下落(2024/2/25現在:1.15ドル)したままの状態です。

それでも、こうした最適化と優先事項の再確認を経て、2024年の売上成長率は5~10%を予測しており、黒字化達成に向け尽力するとしています。

今後の戦略としては、まずEMEAではバリスタミルクの新SKUや新しい「Oatgurt」シリーズを投入。アメリカ大陸では、ジムやフィットネス施設(新発売の低糖・無糖オーツミルクが中心)、野球のマイナーリーグとの提携を通じて、外食向け製品の多様化を図ります。アジアでは、引き続き外食産業に注力し、製品を最適化して売り上げを回復させる狙いです。

参考記事:
Oatly 2023 Earnings Reports: More Revenues, More Losses As Company Aims for Profitability with New Barista Milks
Oatly’s stock slides 10% after loss more than doubles and it warns of a bad 2024 – MarketWatch

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