ドイツのバーガーキング、全ヴィーガン製品で従来の肉を下回る価格を実現

ヴィーガン食品の消費拡大を狙うバーガーキングが、ドイツで販売しているすべての植物性製品を従来の肉より安い価格で提供すると発表しました。

同時に、ビーフバーガーの差別化を図るため、ユニリーバの保有するブランド「The Vegetarian Butcher」と共同でフラワーシェイプのパティを開発する予定です。

購入を妨げていた最大の障壁を取り除く


ドイツのバーガーキングが、ヴィーガン食をより身近なものにする画期的な取り組みを実施。「すべての人に植物性食品を」のコンセプトのもと、ワッパー(大型のハンバーガー)、チキンナゲット、ロングチキンサンドなどの植物性バージョンについて、販売価格の一律10セント(約15円)引き下げを決定しました。

同社は、ドイツのQSR(クイックサービスレストラン)業界では最大規模のヴィーガン対応メニューを取り揃えており、ほぼすべてのメニューに肉を使わない代替品(ベジタリアン製品含む)が用意されています。

EUの支援で昨年行われた大規模調査によると、ドイツ人の39%が植物性食品は高すぎると感じており、価格は購入を妨げる最大の障壁となっていました。価格が同等以下となることで、今後一層の消費拡大が見込まれます。

CEOを務めるJörg Ehmerは、「当社は1990年代半ばからベジタリアン向けの代替食に投資を行い、ファストフードが必ずしも肉を用いる必要はないことを示してきた。メニューの豊富さに加えて価格面でのアドバンテージも得た今、当社は植物性食品を試したいと思う人を強く後押ししている。これからも味に妥協することなく、お客様に選択の自由を提供していきたい」と語っています。

ヴィーガン製品用の専用パティ開発も


値下げと並行して、バーガーキングは英ユニリーバ傘下の植物性代替肉ブランド「The Vegetarian Butcher」と共同で、ヴィーガンビーフバーガーに用いる花の形をしたパティを新しく開発中。

これは、従来の商品と植物性メニューを区別するためのもので、以前植物性チキンのパティとナゲット用に、刻んだパセリを混ぜ込んだパン粉を開発(左写真)したのと同種の試みです。

The Vegetarian Butcherは、2019年からバーガーキングに植物性ビーフとチキンを供給。英国、インドネシア、中国、アラブ首長国連邦(UAE)、メキシコ、コスタリカなど複数の市場で提携を実施しています(米国では、バーガーキングはImpossible Foodsと提携)。

高まる消費者需要に応える施策


GFI Europeによると、ドイツは欧州最大の植物性食品市場であり、消費者の間でも肉食を控える意欲が高まっている様子。米国農務省(USDA)のレポートでは、欧州最大のフレキシタリアン人口(全国民の55%)を要するとされています。

バーガーキング・ドイツでも、昨年販売されたワッパーの5に1個、ロングチキンサンドの4個に1個が植物性であったとのこと。

同社のマーケティング責任者Klaus Schmäingは以前、フレキシタリアンが同社のメインターゲットと語っており、今回の値下げも消費者需要に合わせた動きといえるでしょう。

このように、すでに需要が存在しているのは明らかであり、政府もそれを認識しています。2024年の連邦予算には、代替プロテインへの移行促進と「Competence Centre Proteins of the Future」の開設に、3,800万ユーロ(約61億2,000万円)計上されました。

また、価格の引き下げにより植物性食品をより身近なものにしようと取り組んでいるのは、バーガーキングだけではありません。

ディスカウントストアのLidlは昨年10月、自社ブランド「Vemondo」で展開する植物性食品のほとんどを、従来の肉や乳製品と同等か、それ以下の価格にすると発表しました。

Lidlの発表に続いて、Kauflandも90品目のヴィーガン商品に対して同様の値下げを行っているほか、REWE GroupのBILLAPennyAldi Südも同様の動きを見せています。

参考記事:Plant-Based for Everyone: Burger King Germany Makes All Vegan Products Cheaper than Meat

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