UAEのNovel Foods Group、甘味タンパク質ブラゼインを生産する精密発酵拠点の設立へ
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビを拠点に甘味タンパク質を生産するNovel Foods Groupが、5億ドル(約737億円)を投じて精密発酵に特化した生産施設を建設することで合意に至ったと発表しました。
砂糖の代替となる甘味タンパク質
この合意は、投資コングロマリットGewan Holding傘下のNovel Foods Groupと、ドイツのプラントエンジニアリング企業Glatt Group、スイス企業のBioengineering AG、CB Consultancy AGの間で締結されたものです。
新設される生産拠点では、まず甘味タンパク質の一種ブラゼインの開発を行う計画。ブラゼインは、西アフリカに自生するニシアフリカイチゴ(Pentadiplandra brazzeana)の果実に含まれ、スクロース(砂糖)の500〜2,000倍の甘味を持つといわれています。
地元では古くから食用とされてきましたが、実のなる場所が人里離れているため、収穫には困難がつきものでした。
Novel Foods Groupは、砂糖の代替品としてこの原料に着目。血糖値を上昇させないブラゼインは、UAEで増加する糖尿病と肥満の問題に対する画期的な解決策になる可能性があるとみており、精密発酵により生産したブラゼインの市場投入を目指しています。
同社役員を務めるAlaa Al Aliは、「人々が健康や味を犠牲にすることなく、大好きな甘味を楽しめなければならない」とコメントしています。
地域の嗜好に合わせた製品開発を実施
Novel Foods Groupによると、代替砂糖の市場は年率約5%で成長しているのに対し、伝統的な砂糖の成長率は1%。ブラゼインの商業的用途は広く飲食業界全体にわたり、代替砂糖市場の一角を占めるものとして一定の成長を見込んでいます。
大学や研究機関との提携を通じて、同社はブラゼインを使ったレシピを考案し、消費者からのフィードバックセッションに参加して、地域の嗜好に合わせた製品開発を実施。
ドバイに保有する研究開発センターでは、健康と持続可能性に重点を置いた革新的な食品を開発しています。
UAEにおけるその他の精密発酵原料としては、米国とオーストラリアに拠点を置くChange Foodsが、2022年にKezad Groupとの間で、アブダビでアニマルフリーカゼインを生産する契約を締結。
近隣国のイスラエルには、RemilkやImagindairyなど牛乳生産に革命を起こそうとしている精密発酵企業が最も集中しており、政府も1,400万ドル(約20億6,000万円)を投じて発酵生産拠点の建設を進めています。
参考記事:
Novel Foods Group Reveals $500M Precision Fermentation Hub to Produce Brazzein
Novel Foods Group and partners reveal plan for new biotech cluster in the UAE
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