New CultureがCJ CheilJedangと提携、アニマルフリーカゼインの生産コスト低下を図る
アニマルフリーのチーズを開発する米New Cultureが、以前から出資を受けていた韓国の食品大手CJ CheilJedang(CJ第一製糖)との戦略的提携を発表しました。
世界に広がる大企業の発酵能力を活用
New Cultureは、精密発酵により乳タンパク質の一種カゼインを生産し、牛乳由来の乳糖やコレステロール、ホルモン、抗生物質を含まないチーズを開発。代替品でありながら、従来のチーズのような溶け、伸び、泡立ち、褐変などの特性を保持しています。
今回の提携は、カゼインの生産コストを削減し、ピッツェリアでデビューする同社初の製品となるモッツァレラチーズで競争力のある価格を実現することに重点を置いたもの。
食品ブランド「bibigo」を展開し、「Red Baron」ピザで知られるSchwan’s Companyを子会社に持つCJ CheilJedangは、発酵技術に関する60年の専門知識と数百万リットルにも及ぶ発酵能力を有する、売上高230億ドル(約3兆5,500億円)規模のコングロマリット。食品・飼料用途のアミノ酸、香料、調味料、植物性タンパク質原料の生産などを手掛けています。
これまでに米国のPlantible FoodsやAqua Cultured Foodsなど、いくつかの代替プロテイン企業に投資を行っており、バイオメディカル分野のT&R Biofabと共同で3Dバイオプリンティングによる代替肉の開発も進めてきました。
精密発酵分野で生産能力の確保が課題となっている中、大規模な発酵設備へのアクセスが可能になることは、New Cultureにとって大きなアドバンテージになるものとみられます。
年内の製品発売へ向け、生産能力を拡大
New Cultureは今年2月、世界で初めて精密発酵カゼインのGRAS(Generally Recognized as Safe)自己認証を取得し、米国での販売が可能になりました。
「米国料理界のアカデミー賞」とも評されるジェームス・ビアード賞を受賞したシェフ、Nancy Silvertonが経営する「Pizzeria Mozza」で年内にも製品発売を計画しており、生産能力を拡大し続けています。
共同創業者でCEOのMatt Gibsonによると、「2022年に発表したアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)との提携と今回の提携により新たな規模での生産立ち上げが実現できれば、生産コストを劇的に下げられるだろう」とコメント。
以前から、規模拡大に伴い生産コストを80%削減できるといい、3年以内に従来のピザと同等の価格を実現できると主張しています。
参考記事:
New Culture Partners with CJ CheilJedang to Streamline Costs of Animal-Free Mozzarella
New Culture Strikes Deal with CJ CheilJedang to Drive Down Animal-Free Casein Costs
Korea’s CJ CheilJedang Partners With T&R Biofab to Develop Bioprinted Alt Meats
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