Beyond Meatが2022年以来の増収を記録、値上げとドイツの売上増が主要因に

米NASDAQに上場する代替肉大手のBeyond Meatが、2024年第3四半期の決算報告を実施。値上げとドイツでの好調な売り上げに支えられ、約2年ぶりの増収を記録しました。

2022年以来の増収を記録


今年、代替肉製品の改良や新製品のソーセージを打ち出し、「健康とウェルネスを追求する企業」として販促を行ってきたBeyond Meat。

同社の業績は9四半期連続で前年同期比減収となっていましたが、今年の7〜9月に増加に転じ、利益率を押し上げて第3四半期では赤字幅を縮小することに成功しました。第3四半期の売上高は8,100万ドル(約124億円)で、前年比で7.6%の増加となっています。

主な要因として挙げられるのは、同社が米国で主力製品の価格を22%引き上げたことと、小売業者に認める値引率を引き下げたこと。これらの変更により利益率が17.7%に拡大し、昨年同期のマイナス9.6%、今年第2四半期の14.7%を大幅に上回りました。

CEOのEthan Brownによると、第3四半期の販売量は7%減少したものの、4つある販売チャネル(国内小売・国内外食・外国小売・外国外食)のうち3つでは前年同期比で増加が見られたとのこと。「2019年の上場以来、既存のタンパク質市場は破壊され続け、Beyond Meatがメインストリームになる道が開かれていっているようだ」と投資家に向けて語りました。

外国の外食市場を除きすべて成長


米国内では、小売売上高が14.6%増となったことに加え、外食部門でもパンダエクスプレスとのコラボレーション再開が大きく寄与し、純収益が15.5%増加しました。「Beyond Orange Chicken」は現在、以前の倍となる600店舗で販売されています。

また、賞味期限の関係でこれまで参入できていなかったドイツの冷蔵チャネルに参入したことで、全世界での小売売上高も17%増加。世界最大の植物性食品市場の一つであるドイツで拡大の地盤を築くことができれば、今後の成長を促進する大きな要素となり得ます。

一方で、外国での外食売り上げは打撃を受け、第2四半期のマイナス2.5%からさらに悪化して、マイナス17%に。「EUで大手QSR(クイックサービスレストラン)顧客向けのハンバーガーとチキン製品の売り上げが減少した」と説明されています。

先月、Beyond Meatは世界最大の外食チェーンであるマクドナルドとの提携を拡大し、「McPlant(マックプラント)」シリーズの植物性ナゲットがフランスの1,560店舗で新たに導入されました。ドイツや英国などの欧州諸国に続き、フランスでも常設メニューに加わる予定で、今後はこのチャネルの売上増も期待できる状況です。

世界的な需要減退からの復活なるか


2023年以降続く世界的なインフレにより、比較的割高な植物性食品の消費意欲が落ち込み、売り上げが減少しています。

近年のBeyond Meatの業績悪化もこの影響を強く受けたものでしたが、同社は健康上・環境上の利点を訴求するため、ハンバーガーパティをソラマメやアボカドオイルを含む製法に変更。米国心臓協会(AHA)の認証を取得し、ライフサイクルアセスメントを実施するなど積極的にアピールを行ってきました。

加えて、高タンパク質でありながら飽和脂肪酸が非常に少ないという菌糸体の活用にも本格的に着手し、クリーンラベルの「Beyond Steak Fillet」を間もなく発売する予定です。

同社はまた、5つの倉庫から撤退するなど生産ネットワークの統合に努めた結果、商品原価を過去3年間で最低水準の6,670万ドル(約102億円)まで引き下げることに成功。純損失は前年同期から62%縮小し、2,660万ドル(約40億6,000万円)となっています。

しかし、それでも積み重なった10億ドル(約1,530億円)の負債を減少させるには至っておらず、債権者と債務再編について協議していると報道されていました。現在は、市場の需要に応じて五月雨式に新株を売却して資金調達する「アット・ザ・マーケット・オファリング(ATM)」方式で、年末までに手元資金を増やすことを検討している様子です。

参考記事:
Beyond Meat® Reports Third Quarter 2024 Financial Results | Beyond Meat, Inc.
Price Hikes Work as Beyond Meat Returns to Revenue Growth for the First Time Since 2022

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