Vowが培養ウズラのフォアグラを発表、香港で初の認可を受け販売が決定

オーストラリアの培養肉企業Vowが、高級珍味フォアグラに代わる新たな培養肉製品「Forged Gras」を発表しました。香港食品安全センター(CFS)から初の認可を受け、香港のレストランで提供されます。

模倣ではなく、新たな食体験を創造


ニホンウズラの細胞を培養して作られた「Forged Gras」は、これまで培養肉に対する認可の下りていなかった香港で販売されるとのこと。

今年4月にシンガポールでデビューさせた「Forged Parfait」に続くもので、複数の市場で複数の培養肉製品を販売する企業はVowが初となります。

CEOのGeorge Peppouによると、同社が重きを置いているのは、従来の肉を単に模倣するのではなく、革新すること。「希少な食材や見たことのない食材を何百万人もの人々に届けたい。古くからの美食の伝統に縛られることなく、想像力による全く新しいものの創造を目指している」と語っています。

「Forged Gras」は、倫理面・環境面の懸念から広く禁止されている従来のフォアグラを代替するものですが、脂肪分の多い肝臓の豊かな食感を模倣する一方で、ウズラ特有の繊細でジビエのような風味を導入。51%の培養ウズラに、野菜とハーブ入りのココナッツオイル、ヒマワリ油、ソラマメタンパク質などの厳選した素材をブレンドしました。

「Forged Parfait」とともに香港の5つ星ホテル、マンダリン オリエンタル内にある日本風レストラン「The Aubrey」で提供される予定です。

今年は認可事例の多数見られた1年に


Vowは今年シンガポールで認可を受け、培養肉製品の販売を認められた5社目の企業となった後、複数のレストランと提携し積極的に展開を続けてきました。

今回の製品発売を記念して、ニューヨークでミシュラン星付きレストランを展開する日本人シェフの高山雅氏(Masa Takayama)とも提携し、同社製品を使った特別メニューの開発を依頼しています。

昨年以来、UPSIDE FoodsAleph Farmsなど認可を受ける企業が増加しましたが、現在のところ、通常販売を行っているのはVowとGOOD Meatの2社のみ。後者はシンガポールで4年前の2020年末に培養鶏肉の販売を認められ、Huber’s Butcheryで販売しています。

Vowはまた、昨年オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)への認可申請も実施済み。FSANZへほかに認可申請を行った企業は確認されていませんが、すでにその安全性を認める見解が出されており、2025年第1四半期にも認可を得られる見込みです。

ドナルド・トランプの大統領就任を控え、米国フードテック界の先行きが不透明な中、来年は成功を求めて他国に目を向ける企業が増える可能性も。すでにシンガポールでは多数の企業が申請を行っており、これまで認可事例のないEUでも、Vowと同じく培養フォアグラを開発するGourmeyが申請を進めています。

参考記事:
HISTORIC: Cultivated meat now for sale in Hong Kong—a first in China | LinkedIn
Forged Gras: Vow Becomes First Company to Launch Cultivated Meat in Hong Kong
Three top chefs on Forged Parfait, the new ingredient revolutionising the dining scene now

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