乳製品大手のベル、フランス政府の支援を受け「次世代」ヴィーガンチーズの開発プロジェクトに着手
「笑う牛」の印象的なパッケージで知られる乳製品大手のベル・グループ(Bel Group)が、フランスの農業・食品産業をリードするAvril、Lallemand、Protialの3社と提携。
発酵・熟成させた植物性チーズの開発推進を目的とした、3年間の共同プロジェクトを実施すると発表しました。
急成長する植物性チーズの需要に応える
900万ユーロ(約14億2,000万円)を投資して行われる「Cocagne」プロジェクトは、加工を最小限に抑え、栄養価が高く、美味しく、かつ環境に優しい植物性食品の開発に重点を置いたもの。
フランスの公的投資銀行Bpifranceが実施する、政府の投資計画「France 2030」に基づき支援を受けています。
植物性食品の中で、チーズはフランスで最も急成長しているカテゴリーであり、2021〜23年にかけて売り上げは2.5倍に増え、1,000万ユーロ(約15億8,000万円)に達しました。
ベルは、欧州産の作物を原料に高度な発酵・熟成プロセスを用いることで、既存の植物性チーズの味と食感を大幅に改善し、より健康的で美味しい製品を求める消費者の要望に応えたい考え。
立ち上げ30周年を記念し750万ユーロ(約11億8,000万円)を投じて拡張を発表した、フランス・ヴァンドームに構える研究開発センターでプロジェクトを進めます。これにより開発された製品は、同社の既存ブランドの一部となる予定です。
イノベーションを加速させる戦略的提携
CO₂排出量を削減するため、2030年までに製品ポートフォリオの50%を植物由来にするという目標を掲げるベルは、2020年に主力の各ブランドの植物性バージョンを投入する計画を発表した後、乳製品フリーの「Babybel」や「The Laughing Cow」を発売。
2024年上半期には18億ユーロ(約2,840億円)に上った同社の売上高の中で、これらの製品の占める割合は微々たるものですが、2050年までに売り上げの50%を植物由来の製品から生み出すという目標を掲げています。
これまでにイノベーションを促進する取り組みの一環として、モントリオール工科大学、ワーゲニンゲン大学、研究機関のINRAEなどとの戦略的パートナーシップを結んできました。
注目度の高まる発酵分野にも力を入れ、精密発酵乳タンパク質を開発するStanding Ovation、米国のバイオマス発酵スタートアップSuperbrewed Foodとも提携。「Nurishh」ブランドからは、Perfect Dayの精密発酵ホエイを用いたクリームチーズを市販化した実績もあります。
また、昨年手を組んだClimax Foodsとは、データサイエンスと人工知能(AI)を活用した次世代の植物性チーズ開発プロジェクトが進行中です。
参考記事:
Bel Group Announces Three-Year Collaborative Project to Develop Fermented Cheese Alternatives
Bel Group Embarks on €9M Project Backed by French Govt to Develop ‘Next-Generation’ Vegan Cheese
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