スイスに細胞農業の新たな拠点「The Cultured Hub」がオープン、業界大手3社の提携で実現

スイスのチューリッヒに近い街ケンプタールで、細胞培養食品のための新たな施設「The Cultured Hub」が立ち上げられました。

フードシステムの改革を目指す非営利組織のSwiss Food & Nutrition Valley(SFNV)が開催したイベント、「Cultured Foods 2.0」で開設が発表されています。

スタートアップ企業の規模拡大を支援


The Cultured Hub」は、持続可能性への取り組みを進めてきたミグロジボダンビューラーグループというスイスの業界大手3社による合弁事業として運営されます。

2021年に初めて発表されたこの提携は、食品加工と製品開発における各社の豊富な経験を活用して、培養肉など細胞性食品の生産を加速させることを目的としたもの。

最先端のラボと発酵機能を備えた新しいバイオテクノロジー施設では、ラボスケールから最大1,000リットルのパイロットスケールへと拡大を図るスタートアップ企業を支援し、より迅速な市場参入を促進します。

現在の体制では3社を同時に受け入れることができ、入居企業は独立した部屋で、設備投資の負担なしにコラボレーションとイノベーションに注力することが可能。食品に限らず、化粧品や特定の医薬品用途にも利用できます。

CEOを務めるYannick Gächterは、「The Cultured Hubの立ち上げは、持続可能な食品生産をグローバルに推進する上で極めて重要だ」とコメントしました。

大手3社の持続可能性への取り組み


今回の発表で3社は、より健康的で環境に優しい製品を求める消費者ニーズに沿ったソリューションを提供するため、持続可能な食品生産の必要性を強調しました。

スイス最大のスーパーマーケットチェーンで、大手の食肉メーカーでもあるミグロは、近い将来スイスの消費者に培養肉を届けるべく、Aleph FarmsSuperMeatとの提携を実施。

Aleph Farmsには2019年から投資しており、以来スイスで大規模な消費者調査を実施するなど、同社の市場参入戦略を支援してきました。昨年、同社がスイス連邦食品安全獣医局(FSVO)への認可申請を行った際にも、プロセスを円滑に進めるために尽力しています。

香料大手のジボダンは、2019年に食品業界向けのイノベーションプラットフォーム「MISTA」を中心となって立ち上げ。大手企業とスタートアップ企業とのパートナーシップを促進するこのプラットフォームを通じて、Cultivated BiosciencesYali Bioなどの企業が開発努力を結実させています。

食品加工機器を手掛けるビューラーは、ベゾス・アース・ファンド(Bezos Earth Fund)が今年米国のノースカロライナ州立大学に設置した代替プロテインセンターと提携。また、ベンチャーキャピタルなどとも提携して、持続可能なペットフードを開発するスタートアップ企業を支援するプログラムを開始しています。

参考記事:
The Cultured Hub opens its state-of-the-art biotech facility in Switzerland – Swiss Food & Nutrition Valley
The Cultured Hub Facility Finally Opens, Positioning Switzerland as a Leader in Scaling Cell-Based Foods

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