英国の気候テックArborea、太陽光を利用した微細藻類タンパク質で約8.2億円を調達
英国とポルトガルに拠点を置くスタートアップ企業のArboreaが、500万ユーロ(約8億1,700万円)の調達を行いました。光合成を産業規模で行い、高価値の微細藻類タンパク質を生産する「Biosolar Leaf」システムの施設建設を計画しています。
光合成によるカーボンマイナスのタンパク源
同ラウンドはIndico Capital Partnersがリードインベスターとなり、Banco Português de Fomento(BPF)が参加。
2015年の設立以来、Arboreaの資金調達総額は950万ドル(約14億9,000万円)に達し、さらに欧州イノベーション会議(EIC)を含む複数の団体から450万ドル(約7億800万円)相当の助成金も得ています。
同社は微細藻類を用いて、2050年までに100億人に近づくとされる世界人口に食料を供給しながら、光合成により酸素を作り出すシステムを構築。太陽光を無尽蔵の原料として使用し、空気中の炭素を隔離して酸素を放出する大規模施設の建設を進めています。
この「Biosolar Leaf」プラットフォームは、5万種に及ぶ微小植物(微細藻類、藍藻類、珪藻類など)のいずれでも、肥沃な農地や農業資源を必要とせずに培養することが可能。痩せた土地や建物の屋上など、どのような場所にも設置できます。
1エーカー単位で、平均的な森林の100倍のCO₂を吸収し酸素を放出するため、動物は言うまでもなく、大豆などの植物由来原料と比べても気候フットプリントを大幅に削減できる点が魅力です。
多様な用途に対応したタンパク質製品を展開
Arboreaの製品ラインアップのうち主なものは、卵の代替品となる機能性タンパク質。「NOvo」は卵と同じ乳化・結合特性を持ち、安全性や価格変動の問題がなく、ベーキング製品、ヴィーガンエッグ、植物性代替肉などに使用できます。
同じ製品ラインから、代替ミルクや機能性飲料のような液体製品に9種類の必須アミノ酸すべてを供給できる「Amino Water」、鉄・ビタミン・ミネラルとともに完全タンパク質を75%以上含む「Pure Concentrate」を展開。
そのほか、製品の自然な着色を可能にする青色色素タンパク質の「Pure Blue」や、深緑色の「Ultra Pure Spirulina」パウダーも開発しています。
同社は今年初め、グリニッジ大学のNatural Resources Institute(NRI)およびインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)と共同で、藻類の風味を改善する2年間のプロジェクトに着手。
代替タンパク源としての活用が広がる藻類ですが、ほぼ唯一のデメリットとして、特徴的な味が残ることが挙げられてきました。
上述のプロジェクトでは、まずこの味の原因となる化合物を特定。生育条件や抽出方法を変えることにより、これを変化させられるかどうかを検討して、より美味しい藻類タンパク質製品の実現を目指します。
参考記事:
Arborea ウェブサイト
Carbon-negative protein production startup Arborea raises €5 million | EU-Startups
Arborea raises €5M for to cultivate proteins on any surface – Tech.eu
Climate Tech Startup Absorbs $5.2M for Sunlight-Fed ‘Carbon-Negative’ Proteins
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