ルパン豆とオーツ麦から栄養価に優れたヨーグルトを開発 —豪・モナシュ大学

オーストラリア・モナシュ大学の研究チームが、乳製品のヨーグルトに匹敵する味と食感を持ちながら、一般的な植物性ヨーグルトに比べて栄養価の高い「スーパーヨーグルト」を開発したと発表しました。

菌株の最適な組み合わせを探索


このヨーグルトは、オーストラリアで栽培されているルパン豆の一品種、Australian Sweet Lupin(Lupinus angustifolius)とオーツ麦から作られたものです。

研究チームは、プロバイオティクス菌株をさまざまに組み合わせてヨーグルトを発酵させた後、7日間冷蔵保存し、組み合わせの違いがヨーグルトの品質にどのような影響を与えるかを調査。

その結果、最も優れていたのは、乳酸菌の一種ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)と、ビフィズス菌のプロバイオティクスの組み合わせでした。

タンパク質と繊維質を多く含むルパン豆の性質と相まって、これらの菌株は濃厚でクリーミーな粘性と乳製品のような優れた食感を生み出したといい、今後の研究により味と食感のさらなる改良が期待されています。

研究を率いたモナシュ大准教授のSushil Dhitalは、「これは消費者が待ち望んでいた次世代の植物性ヨーグルトだ」とコメントしました。『Food Hydrocolloids』誌に掲載された研究結果によると、従来のヨーグルトと同様に栄養価が高く、ココナッツベースのヨーグルトに比べて飽和脂肪酸が少ないといい、代替品として理想的とのこと。

Dhitalは「ヨーグルトの商品化に関心のあるメーカーには研究成果を自由に利用してもらい、技術的なサポートも提供したい」と述べています。

代替食の原料として活用が進むルパン豆


ルパン豆は古代エジプトから栽培の記録がある作物ですが、大豆に匹敵するタンパク質含有量(44%)を誇り、代替食の原料として近年人気が再燃しています。中でも西オーストラリア州で多く栽培されている品種(sweet lupin)は、痩せた土壌を回復させて健全性向上にも役立つのが特徴。

このルパン豆は、アルカロイドを多く含んだ苦味のある品種(bitter lupin)と交雑し苦くなってしまう可能性があったことから、小規模でしか栽培が行われてきませんでした。

しかし、昨年発表された研究が、ルパン豆の「甘味遺伝子」を特定。この発見は、植物性食品に利用できる苦味のない新品種の開発を加速させる可能性を秘めています。

昨年、西オーストラリア州に拠点を置くWide Open Agricultureは、ルパン豆タンパク質で栄養面を強化したオーツミルクの製造を拡大するため、州政府から500万豪ドル(約4億9,100万円)の補助金を受けました。

同社はまた、スウェーデン企業Novaxの食品原料部門Ingå Groupとの間で、ルパン豆タンパク質を欧州で販売する契約を締結しています。

参考記事:
Researchers Develop “Super-Yogurt” Made From Australian Sweet Lupins & Oats
Oat-Lupin alt-yoghurt set to challenge conventional dairy blend – Inside FMCG
Is Lupin the Next Big Plant Protein? Newly Found Gene in Sweet Lupin Opens Doors for High-Protein Crops

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