The Better Butchersが培養脂肪スタートアップのGenuine Tasteと提携、ハイブリッド肉の開発を目標に

カナダの植物性代替肉メーカーThe Better Butchersが、培養脂肪スタートアップのGenuine Tasteとハイブリッド肉開発に向けた提携に至ったと発表しました。

同じカナダ企業のCULT Food Scienceによる買収を目前に控え、新たな動きに入っています。

菌糸体と培養牛脂肪のブレンド


提携により両社は、The Better Butchersの菌糸体ミートとGenuine Tasteの培養牛脂肪をブレンドしたハイブリッド肉を製造する計画です。

Genuine Tasteは、生物物理学者のPooya Mamaghaniと、トロント大学で土木工学を学ぶ学生Emily Farrarにより2022年に設立されました。牛から採取した幹細胞を脂肪細胞に分化させ、栄養分と塩を加えて増殖させることで牛脂を生産します。

バイオリアクターで大量生産することができるこの脂肪は、従来の食肉の味により近く、脂肪酸組成、融点、食感といった機能的特性を備えた代替肉の製造を可能にするもの。

現在はまだラボスケールで試験を行っている段階で、6月に行われたインタビューでFarrarは「試食はしましたが、この生産規模では非常に貴重な資源なので、調理試験までは行っていません」と語っていました。

しかしながら、代替油脂を専門とするゲルフ大学の学術チームにサンプルを送り、第三者フィードバックを得たとのこと。さらに、最初のサンプルを世界的な食品企業に販売し、ハンバーガーの原料としてテストしているといいます。

実現可能性の観点から注目されるハイブリッド肉


The Better Butchersはこの提携を、細胞農業の技術でさまざまな食材を生み出す「最先端企業」と協力する取り組みの一つに位置付け。ハンバーガー、ベーコン、ソーセージのような「高級精肉店の定番商品」を、ほんのわずかな土地、水、CO₂排出で実現することを目標に掲げています。

現在は菌糸体ベースのクランブルを展開しており、チョリソー風味の製品はBC Food & Beverageの「2024 Rise Awards」でプロダクト・オブ・ザ・イヤーを受賞しました。また、マクマスター大学との4年間の協働プロジェクトで、培養肉の開発にも取り組んでいます。

スケーラビリティやコストに関する課題を考えたとき、培養肉の市場化を実現可能な唯一の方法と目されているのが、ハイブリッド肉への適用。現時点で市場に投入されている(あるいはその準備が進められている)ほとんどの培養肉製品は、培養細胞と植物由来原料をブレンドしたものとなっています。

米国のパイオニア企業GOOD Meatが今年5月に発売し、初めて小売店で入手可能となった製品も、培養細胞をわずか3%しか使用していないハイブリッド製品です。

参考記事:
CULT Food Science Acquisition Target The Better Butchers Inc. Signs LOI with Genuine Taste
The Better Butchers Teams Up With Student-Led Cultivated Fat Startup to Produce Hybrid Meat
Growing beef fat in the lab: Biotech startup for CivMin’s Emily Farrar  – Department of Civil & Mineral Engineering

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