ドイツのバイオマス発酵企業Kyndaが約4.7億円を調達、養鶏大手のPHW Groupも出資
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バイオマス発酵を手掛けるドイツのKyndaが、シードラウンドで300万ユーロ(約4億6,800万円)の調達を行ったと発表しました。
第2四半期に新工場の開設を予定
EnjoyVentureがリードインベスターを務めたこのラウンドには、ドイツ最大(欧州第4位)の養鶏業者PHW Groupと、気候テックへの投資を行うスイスのClima Nowも参加。さらに、インパクト投資を行うC.E.L.L. Investmentも4月に予定されている2回目のクロージングに加わる予定です。
2019年設立のKyndaは、食品産業から出た大豆、オーツ麦、おからなどの副産物をマイコプロテインに変換する、バイオマス発酵技術とバイオリアクターの開発を手掛けています。
同社の製品「Kynda Meat」は、肉のような食感や自然なうま味を持つとのこと。業界標準で7~10日かかる菌株の増殖をわずか48時間で行える効率性が強みで、昨年大規模施設の建設に着手していました。
ハンブルク近郊に立地するこの新施設は第2四半期に開設を予定しており、3万リットルの発酵能力で年間2,000トンまでのスケールアップが可能になる見込み。
CEOのDaniel MacGowan von Holsteinは、「当社の顧客の多くは数千トンの製品を必要としている。今回の資金調達により、パートナーと共に生産能力を増強してこの需要に応えられ、マス市場への参入が可能になる」とコメントしています。
包括的な事業展開を狙うPHW Group
Kyndaの新たな戦略的パートナーとなったPHW Groupは、2015年からヴィーガン製品を販売しており、植物性代替肉ブランド「Green Legend」の展開などを通じて代替プロテイン市場での地位を確立してきました。
現在、REWEやEDEKAといった大手小売店で販売されている同社のヴィーガン製品は、2022〜23年度に約5,000万ユーロ(約78億円)の収益を創出。前年に比べ大幅に増加したと報告されています。
昨年には、培養肉メーカーMosa Meatへの出資を行ったことに加え、伝統発酵と精密発酵に焦点を当てた子会社の新設計画を発表。
さらに、別の子会社としてVTEC Precision Foodsを設立し、植物性タンパク質の生産に伴う副産物から原料を発酵抽出することに専念してきました。真菌をベースとしたバイオマス発酵への投資は必然の流れだったといい、シナジーを追求した包括的な事業開発を狙っています。
参考記事:
Biomass Fermentation Pioneer Kynda Raises €3M From Investors Including Meat Processor PHW Group
German Poultry Giant Backs Mycelium Meat Startup in €3M Funding Round
Fungus for the future: Kynda raises €3 million for fungal protein production | EU-Startups
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