オーストラリアとニュージーランドが培養肉にゴーサイン、Vowの培養ウズラ販売を認める

オーストラリア・シドニーに拠点を置く培養肉企業のVowが、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)から初の販売認可を取得。これにより同社は、3つ以上の地域で培養肉の規制認可を受けた最初のスタートアップ企業となりました。
60日間の大臣会議を経て完了へ
FSANZは、南半球に位置する2カ国の食品規制を共同で担う機関。4月7日付でアップロードした認可報告書で、同地域では初となる培養肉への認可を発表しました。
今後、食品規制大臣会議での承認に回され、正式に販売が認められる見込み。この検討は60日間にわたるもので、Vowは6月中にプロセスが完了することを望んでいます。
FSANZが最初にVowからの申請を受理したのは、2023年1月。2度のパブリックコメント募集と評価を経て、長かった審査プロセスに終止符が打たれました。
その間、同社はシンガポールと香港で先に規制当局の認可を得ることに成功。シンガポールでは複数のレストランで「Forged」ブランドを展開しており、一般への提供がなされています。
つい先週には、バイオリアクターで2万リットルの細胞培養を成功させ、世界記録を樹立したと発表しました。
食品安全上のリスクは「極めて低い」
Vowが提出した申請書は、「ニホンウズラの胚性線維芽細胞に由来する培養ウズラを新規食品成分として使用する」許可を求めたものです。
FSANZは、「すべての培地投入物について、完全かつ独立したエビデンスベースの評価を実施し、その使用や存在によって安全性の懸念が生じないことを確認した」と報告書に記載。
「推定される消費量では、生産工程で使用される培地や投入物に関連する毒性学的懸念はなかった」としています。
また、「細胞株サプライヤーはすでにリスク管理のため優良試験所規範(GLP)および適正細胞培養規範(GCCP)に従っている」ため、細胞株の食品安全上のリスクは「極めて低い」と結論付けました。
ただし、スポーツ食品、乳児用粉ミルク、特定の医療食といった「特別な目的の食品」には、市販前の追加評価なしに培養肉を含めることはできないとしています。
禁止と認可の両方に進展
今回の認可はVowのみならず、低迷が見られる培養肉セクター全体にとって大きな出来事となります。培養肉を手掛けるスタートアップ企業への投資は、2023年には75%、2024年にはさらに40%減少しました。
また、文化的・政治的な数多くの問題にも直面しており、イタリアは2023年に培養肉の生産・販売を禁止する法律を制定。米国では、20以上の州が同様の禁止措置を試み、3つの州(フロリダ、アラバマ、ミシシッピ)が成功しています。
対照的に、米国食品医薬品局(FDA)は先月、Mission Barnsの培養豚脂肪について安全性を承認。2023年以来となる、3例目の認可を出しました。
米国以外で培養肉を認めている国・地域は、シンガポール、イスラエル、英国(ペットフード用途に限定)、香港、そしてオーストラリアとニュージーランド。
韓国、タイ、EU、スイスなどの規制当局にもすでに申請が出されており、検討段階にあります。
参考記事:
A1269 – Cultured Quail as a Novel Food | Food Standards Australia New Zealand | FSANZ
Cultured Quail Startup Vow Gets FSANZ Regulatory Approval in Australia & New Zealand
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