Gourmeyの生産技術ではキロ単価約1,090円の培養肉が実現可能、第三者による技術経済性分析で明らかに

フランスの培養肉企業Gourmeyが、同社の生産モデルが拡張可能で経済的に実行可能であることを確認する、業界初の独立した検証を受けたと発表しました。

5千リットルの生産モデルを評価


Gourmeyの生産モデルについて第三者評価を実施したのは、世界規模のコンサルティングファーム、アーサー・ディ・リトル。この技術経済性分析は、培養細胞を約半分含み、残りが植物由来のタンパク質と脂肪で構成された製品に対して行われました。

結果として、Gourmeyが欧州では業界最大とうたう5千リットルのバイオリアクターを用いるシステムは、1ポンドあたり3.43ドル(キロ単価約1,090円)で培養肉を生産できるとされ、不確かな技術革新や巨大規模のインフラなしに従来の食肉と同等の価格に近づけられると結論しています。

培養肉のバリューチェーン全体で50件以上の特許出願を行っている同社のプラットフォームは、胚性幹細胞(ES細胞)、懸濁培養、下流の連続生産工程を組み合わせたものです。

バイオ医薬品の製造に使われていた従来技術を、食品グレードでコスト効率に優れ、スケールアップが可能なプロセスに置き換え。アセットライト戦略を採っており、複雑な投入物や特注のインフラに依存せず、従来のシステムと比較して必要な資本が最小限に抑えられています。

可能性から実証への転換


アーサー・ディ・リトルの分析によると、プロセスの最適化により、上記の生産コスト実現に加えて、5千リットルのバイオリアクター6基1,700トンの生産が可能。

施設ごとの設備投資額を3,500万ユーロ(約57億2,000万円)以下に抑えられ、ウシ胎児血清(FBS)などの成長因子は使わずに培地コストも1リットルあたり0.2ユーロ(約33円)の低水準にとどめられるといいます。

このような条件下で、足場やマイクロキャリアを必要としない完全懸濁培養を行い、高い細胞密度を保ったまま連続生産が可能です。

アーサー・ディ・リトルのパートナー、Clément Santanderは、「Gourmeyのプラットフォームは業界最高レベルの設備投資効率を実現しつつ、これまで公表された技術経済性モデルの中で最も低いコスト水準である、最終製品1kgあたり10ユーロ(約1,630円)を下回ると評価された。これは、可能性から実証への転換を意味するものだ」とコメントしました。

シンガポールでは近く認可を見込む


Gourmeyの最初の製品は、フランスの珍味フォアグラの代替品。この製品はミシュランの星付きシェフからも絶賛され、東京、サンフランシスコ、コペンハーゲンの有名シェフが参加するアドバイザリーボード(諮問委員会)によって支えられています。

シンガポール、米国、欧州連合(EU)、英国など6つの規制当局への申請を完了し、現在認可待ちの段階ですが、最初の顧客は高級食材卸売業者で、すでに予定生産量を上回る需要があるとのこと。

共同創業者でCEOのNicolas Morin-Forestは、「培養肉業界は、約束よりも実証することが重要な段階に入っている」と指摘。

「今回の第三者検証は、現実の運用へと話を前に進めるのに役立つだろう。スケールアップの道筋を支える正しい技術的選択によって、培養タンパク質が既存の生産システムを補完する有意義なソリューションになることが示された」と語っています。

参考記事:
Economically Viable Cultivated Meat Production Is Within Reach for Gourmey, Says Independent Assessment
Gourmey cultivated meat cut to €7/kg
Ahead of Singapore Approval, Gourmey Teases Cultivated Meat That Costs $3.40 Per Pound

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