Meridian Biotechが米国の老舗蒸留所と提携、ウイスキー製造から出た蒸留粕を再利用する施設の建設へ

米国の産業バイオテクノロジー企業Meridian Biotechが、ケンタッキー州フランクリン郡にある米国最古の蒸留所の一つ「Buffalo Trace Distillery」から出た副産物を代替プロテイン原料に加工するため、近隣に新たな生産施設を建設する計画を明かしました。

蒸留所を悩ませる廃棄物問題解決の一手に


蒸留業者にとって避けては通れない問題となっているのが、廃棄物となる乾燥蒸留粕(DDG)の処理。

ウイスキーを造るには、トウモロコシ、ライ麦、小麦、大麦などの穀物を大量に必要としますが、これらはエタノールを蒸留した後に残渣となります。蒸留量が増えれば、必然的に使用済み穀物の量も増えるため、飼料原料などへの有効活用が模索されてきました。

ケンタッキー州フランクリン郡に本社を置くMeridian Biotechは、1775年にまで遡る豊かな伝統を持ち、国定歴史建造物にも指定されている蒸留所「Buffalo Trace Distillery」と提携を実施。

構想中の新施設では、バーボンの蒸留工程でタンクの底に沈殿する固形の残留物を、直接回収して連続処理にかけ、機能性タンパク質原料に変換します。この原料は、養殖飼料やペットフード、有機肥料の製造など、複数の分野に供給される予定です。

Meridian Biotechの社長Brandon Coraceは、「蒸留所から出る廃棄物を資源として捉え直すことで、蒸留酒業界を変革する可能性を秘めたバイオテクノロジーの新たな道を開拓できる」と語っています。

約60億円を投じて年内の着工を予定


2017年に設立されたMeridian Biotechは、世界人口の増加に伴う食料安全保障の課題に取り組むことを目的とした持続可能なバイオテクノロジーの開発に注力。2021年に蒸溜所廃棄物の革新的な利用法を見出す目的で開催されたピッチイベントで注目を集めました。

今回発表した新施設には、4,000万ドル(約59億4,000万円)を投じ、年内の着工を予定しています。

ケンタッキー州は、歴史のある蒸留酒製造との結び付きを維持しながら、革新的産業の中心地としての地位を確立する狙いがあり、州知事のAndy Beshearは、この開発計画は雇用創出と資源効率の向上に資するとコメント。

「この投資は、質の高い雇用をもたらして経済を強化するだけでなく、ケンタッキーを象徴するバーボン産業に持続可能性を付加するものだ」と述べました。

フランクリン郡裁判官/行政官のMichael Muellerは、同社の投資を「成長の起爆剤」と呼び、「Meridian Biotechの持続可能で革新的な技術への取り組みは、我々の願いと見事に一致する。Buffalo Trace Distilleryは、企業市民の模範となるべく環境保護への投資を続けており、この2社が力を合わせることで明るい未来を示せるだろう」と語っています。

参考記事:
Meridian Biotech to Build $40 Million Plant to Convert Buffalo Trace Distillery Spent Grains into Alternative Proteins – Distillery Trail
Meridian Biotech To Create 35 High-Wage Jobs With $40 Million Facility To Repurpose Bourbon Distilled Byproducts in Frankfort | Kentucky Cabinet for Economic Development
Meridian Biotech taps bourbon byproducts for protein push in US$40 million Buffalo Trace deal | PPTI News

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