カカオフリーチョコレート開発の英Win-Winが約6億円を調達、ベーカリー大手との新たなコラボレーションも始動

英国・ロンドンを拠点にカカオフリーのチョコレートを開発するフードテック企業Win-Win(旧称:WNWN Food Labs)が、シリーズAラウンドで300万ポンド(約5億9,400万円)の資金調達を実施。併せて、ドイツのベーカリー大手Martin Braun-Gruppeとの提携を発表しました。
環境に優しい代替チョコレートの活用をアピール
Win-Winの最新ラウンドは、Oetker CollectionとFoodLabsが主導。そのほかMustard Seed Maze、Gota Venturesなどが出資し、累計調達額は800万ポンド(約15億8,000万円)に達しました。
Win-Winはこの資金で新製品の開発を進め、周辺国を中心とした欧州市場での足場を固める計画。すでにドイツのベーカリー・製菓大手で、2023年に同社への投資も行っていたMartin Braun-Gruppeとの取引をスタートさせています。
この販売契約により、Win-Winのヴィーガンミルクチョコレートとダークチョコレートをベースにした2種類のグレーズが、Martin Braun-Gruppeの製品ポートフォリオに加わることになりました。
Martin Braun-Gruppeは、製パン、製菓、ケータリング業界のクライアントに向けて、Win-Winの代替チョコレートの使用例を紹介するレシピ本を制作。
サプライチェーンの安定化、低コスト化、気候変動対策に資する代替品を積極的に探している顧客にアピールし、供給増加を図ります。
従来のチョコレートと同じ製法を採用
Win-Winはキャロブ(イナゴマメ)をベースに、タイガーナッツ、ヒマワリの種、発酵させた米、レシチン(天然の乳化剤)、天然香料、塩、そしてRSPO認証を受けたパーム油をブレンドする製法を採用。
ミルクチョコレートではベースにオーツ麦シロップを加えていますが、基本的な原材料はダークチョコレートと変わりません。
発酵から焙煎、粉砕、精製、テンパリングまで、従来のチョコレート製造と同じ技術を用いているのが特徴で、固形タイプと液状タイプがあり、さまざまな用途に使用できます。
CEOを務めるMark Golderは、「チョコレートは誰からも愛されているが、現在の生産方法は持続可能とはいえない。気候変動は収穫量の減少につながり、価格の高騰とサプライチェーンの混乱を引き起こしている」と指摘。
「カカオ産業は転換期を迎えており、安定していて、より環境的・社会的に持続可能な代替案が必要だ」と述べています。
Win-Winの代替チョコレートは、水の使用量を最大80%、CO₂排出量を82%削減できるといい、環境影響の小ささが魅力。これまで消費者向けにはいくつかの製品を限定で販売してきました。
店舗では、ロンドンのToad BakeryやLyanessで採用されたほか、現在は持続可能性が評価されミシュラングリーンスターを獲得したレストラン、Apricityで使用されています。
参考記事:
Win-Win gobbles £3M to expand cocoa-free chocolate across Europe — TFN
Win-Win raises £3M to scale cocoa-free chocolate and expand across Europe – Tech.eu
Win-Win secures £3m in Series A funding for cocoa-free chocolate alternatives | FoodBev Media
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