米The Better Meat Co.、マイコプロテイン生産のさらなる拡大に向け約46億円の資金を調達

マイコプロテインをベースとした代替肉を生産する米国・カリフォルニア州のスタートアップ企業The Better Meat Co.が、商業生産への拡大を目指し、応募超過となったシリーズAラウンドで3,100万ドル(約46億1,000万円)の資金調達を行ったと発表しました。
全体的な代替プロテインへの投資が低迷する中で、発酵分野のスタートアップ企業は唯一調達額を増加させており、関心の高さがうかがえます。
各国の食肉大手から5件の契約を獲得
この投資は、Future VenturesとResilience Reserveが共同で主導し、Epic VenturesやSigma Venturesといった新旧の投資家が参加。これにより、創業8年目を迎えるThe Better Meat Co.の累計調達額は4,300万ドル(約63億9,000万円)に達しました。
創業者でCEOのPaul Shapiroは、この資金をマイコプロテイン「Rhiza」の商業生産へのスケールアップに充てるとコメント。また、これまでの代替肉とは異なる、新たな用途への活用も視野に入れています。
Shapiroは投資家を引きつける「Rhiza」の特長について、「食肉の強化や代替肉の製造において、ほかのいかなる成分よりも優れた働きをする」と説明。
糸状菌の一種であるアカパンカビ(Neurospora crassa)の発酵によって生産されるこの全バイオマス成分は、すべての必須アミノ酸を含み、乾燥重量ベースで卵よりも高い50%のタンパク質含有量を誇ります。
PDCAASは0.87〜0.96と高く(カゼイン、牛肉、卵に近い)、さらにオーツ麦より多くの食物繊維、バナナより多くのカリウムを含む一方で、コレステロールや飽和脂肪酸は実質ゼロ。
一度水を加えた原料は、脂肪や香料で補完してミートフリーの料理に使用したり、従来の肉と一緒に挽いたりでき、動物性タンパク質と組み合わせると、歩留まりと調理後の食感の改善に加え、飽和脂肪を大幅に減らして繊維質を増やせるメリットがあります。
Shapiroによると「Rhizaは主に食肉改良剤として使用されており、顧客の大半は食肉会社(Perdue Farms、Hormel Foods、Maple Leaf Foodsなど)だが、中には植物性代替肉のメーカーもある」とのこと。
これまでに北米、南米、アジアの食肉大手から5件の契約を獲得しており、合計で年間1,300万ドル(約19億3,000万円)の収益を生んでいると予測されています。
2026年までに一般的な牛ひき肉の価格を下回る
The Better Meat Co.は現在、食肉以外の分野にも目を向けています。「Rhiza」はこれまで、牛乳、チーズ、コーヒーミルク、ヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品の代替としても有用であると考えられてきましたが、Shapiroによると、「Rhizaの粉末がベーカリー用途でも多大な能力を発揮すると実証できている」とのこと。
水分保持力を高めるなど卵の代わりとして機能し、パン、トルティーヤ、ブラウニーといった製品のタンパク質や繊維質増加に寄与するといいます。
同社は米国で6件の特許を取得し、米国食品医薬品局(FDA)と米国農務省(USDA)の両方から規制認可を受けました。続けて、シンガポールでも規制当局の承認を得て販売が可能となっています。
生産においては、最終製品の収穫と同時に材料をバイオリアクターに投入する「連続発酵」方式を採用しており、歩留まりの向上に伴い生産コストを30%以上削減。2026年までに、一般的な牛ひき肉の価格を下回るという目標を掲げています。
現在稼働させているパイロットプラントでは、9,000リットルのバイオリアクターで数千ポンドの生産を行えますが、次のステップとしてこれを90,000リットルまで引き上げる狙いです。
参考記事:
The Better Meat Co Brews Up $31M in Funding to Make Mycoprotein Cheaper Than Beef
Paul Shapiro’s Better Meat Company Forges a Path to Success (and New Funding) Through Pragmatism
Better Meat Co raises $31m Series A: ‘Some days, building a startup in our sector can feel like being a player in Squid Game’
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