植物性代替肉事業の黒字化を目指すNxtfood、資金流入が停滞する中で約85.6億円の巨額調達に成功
「ACCRO」ブランドで知られるフランスの植物性代替肉メーカーNxtfoodが、昨年の大幅な売り上げ増に続き、4,900万ユーロ（約85億6,000万円）の調達を行ったと発表しました。
代替プロテイン分野への資本流入が縮小を続ける逆風の中、巨額の調達を成功させています。
目標は12～18カ月以内の黒字化
今回の投資には、既存投資家のCreadevとRoquette Venturesに加えて、Clay CapitalとIRD Investが新規で参加しました。
欧州の植物性代替肉分野では、Planted Foodsが7,200万ドルを調達した2022年以降で最大規模の投資となり、Nxtfoodの累計調達額は7,000万ドル（約104億円）に到達。同社は今後12～18カ月以内の黒字化を目指しており、調達資金は製造能力の拡大と新規市場への進出に充てられます。
CEOを務めるRenaud Saïssetは、「この記録的な資金調達は真の信頼の証だ」とした上で、「ACCROをフランスと欧州全体における植物ベースの食生活への移行の原動力にしたい」と意気込みを語っています。
代替プロテイン分野への投資は全体的に落ち込んでおり、植物性食品企業が昨年集めた金額は、前年比64％減のわずか3億900万ドル（約460億円）。2025年上半期の合計も1億8,000万ドル（約268億円）と、回復は見られません。
収益化への道筋をつけ投資家の関心を引く
2019年にThierry Maroyeが設立したNxtfoodは、フランス北部のオー＝ド＝フランス地域圏に拠点を置き、地元産小麦とエンドウ豆のタンパク質から代替肉製品の開発を進めてきました。
現在では複数カテゴリーにわたる20種類以上の製品を販売しており、チキンフィレ、スライス、ナゲット、ポークソーセージとベーコン、牛ひき肉、ミートボール、ハンバーグなどを取り扱っています。
フランス国内では主要なスーパーマーケット全店と1万を超える外食店舗で販売され、2024年には売上高を3倍に拡大する急成長を記録。
この成功は新たな投資家を引き付け、Clay Capitalは同分野への初の投資を実施しました。創業者のMatthieu Vermerschは、「当社は長年、植物性代替肉市場を慎重に見守りながら、製品・戦略・チームが適切に調和した企業を探してきた」とコメント。
「Nxtfoodは、卓越した大規模な事業運営、欧州市場への野心、そして明確な収益化への道筋を兼ね備えている。これは、分野のプレーヤーのほとんどが今日達成できていない課題だ」と評価しています。
製造拠点を拡張し、欧州で事業拡大へ
Nxtfoodは昨年の成長を基盤に、2025年の売上高をさらに倍増させる目標を掲げています。今回の調達資金で製造拠点を拡張して、敷地面積を3倍の12,000平方メートルに拡大する計画。
さらに、湿式押出成形技術の研究開発を強化するとともに、フランスでは「ACCRO」ブランドのマーケティングを推進し、その他の欧州ではドイツ、イタリア、ベネルクスを起点にB2B供給や共同製造の機会を探っていく方針です。
フランスのヴィーガン食品市場全体を見ると、昨年は売り上げベースで9％の成長を記録。植物性代替肉の中でもチルド製品の売り上げが15.5％増加し、代替乳製品に次ぐ規模の1億5,570万ユーロ（約272億円）に達しました。同時に、過去20年間で肉類の消費量は5.8％減少しています。
今年7月には、フランス農業・食料主権省が「植物性タンパク質に関する国家戦略」の一環として、輸入依存度の低下と多様な国産製品開発に取り組む10社に1,170万ユーロ（約20億4,000万円）を投資。Nxtfoodが地元産の小麦とエンドウ豆に注力している点も、投資家の関心を集めたものとみられます。
参考記事：
Nxtfood raises €49 million to accelerate plant-based growth across Europe | PPTI News
Nxtfood Raises $58M in Europe’s Largest Plant-Based Meat Funding Round in 2025
French startup NxtFood (ACCRO) raises $58m to scale alt-meat platform, aims for profitability in 12-18 months
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