オランダのRevyveが約42億円の調達に成功、ビール酵母で卵やメチルセルロースの代替へ

オランダのフードテック企業Revyveが、シリーズBラウンドの調達で2,400万ユーロ(約42億円)を確保し、累計調達額が4,000万ユーロ(約69億9,000万円)を超えたと発表しました。
卵や添加物を置き換える酵母タンパク質
本ラウンドは、ABN AMRO Sustainable Impact FundとInvest-NLが共同でリードインベスターを務め、地方政府の機関であるブラバント開発公社(BOM)、Danstar Ferment(Lallemand Bio-Ingredientsのスイス子会社)、Grey Silo Venturesが参加しました。既存投資家のOost NLとRoyal Cosunも追加出資を行っています。
Revyveは新たに得た資金で、独自に開発した機能性酵母タンパク質の商業展開を加速する狙い。この酵母タンパク質は、ベーカリー製品、ソース、代替肉、植物性乳製品といった主要な食品カテゴリーにおける卵や、メチルセルロースなどの添加物の代替を目的として設計されています。
天然由来かつ持続可能な素材により、メーカーは超加工食品の懸念を回避しつつ、カーボンフットプリントの削減が可能。
また、手頃な価格で価格変動の少ない魅力的な代替品として、特に大きな影響の出ている卵価格の高騰という問題の解決に寄与することが期待されます。
規制面でのメリットなどで差別化
原料には、数世紀にわたって製パン、醸造、その他の食品用途で利用されてきた、醸造所や大手酵母メーカーから手に入るメジャーな菌種(Saccharomyces cerevisiae)を使用しています。
独自のプロセスで酵母にシンプルな機械的加工を施して、タンパク質と繊維質を含んだ高品質原料に変換。酵母タンパク質が本来持っている機能性を保持でき、既存のインフラで効率的にスケールアップが可能なプロセスと説明されています。
CEOのCedric Verstraetenによると、同社の生産プロセスは、米国では専門家によりGRAS(一般に安全と認められる)ステータスに該当することを確認済み。EUでも新規性がないものとみなされ、複雑な規制の対象となりません。
酵母を用いた代替卵を開発する企業には、ほかにもProteinDistilleryやYeastupなどがありますが、Verstraetenは「当社独自のプロセスにおける微妙ながらも重要な差異」により差別化ができていると強調しています。
施設の拡張で顧客への供給量拡大へ
Revyveは昨年、オランダ南部の北ブラバント州に、同種のものでは世界初という生産施設を開設しました。この施設はすでに複数の顧客への供給を目的としてフル稼働しており、新たな資金調達により年間生産量を1,600トン超に拡大できる見込みです。
今年自社で実施した調査によると、フランス、ドイツ、英国の消費者は酵母タンパク質による代替卵製品に対して好意的な反応を示しているとのこと。
現在、欧州全域と英国のほか、米国、カナダ、メキシコ、オーストラリアの顧客にも供給を実施。採用が容易でリスクが低いという利点を生かして、アジア太平洋地域への拡大も見据えています。
Verstraetenは、「食品メーカーは卵価格の高騰を相殺し、サステナビリティの目標を達成するため卵の使用量を削減しているが、消費者が慣れ親しんだ食感や口当たりを維持するには、卵に特有の機能を再現することが不可欠だ」と指摘。
「当社の酵母タンパク質はこれに貢献し、手頃な価格でクリーンラベルのソリューションを提供できる。今回の調達により、生産をモジュール式に拡大してさらに多くの食品カテゴリーへと展開を進め、世界中の大手顧客に持続可能なソリューションを提供できるようになるだろう」と語っています。
参考記事:
Dutch scale-up Revyve secures €24 million funding to boost egg-replacing yeast proteins | EU-Startups
Revyve Secures €24M to Accelerate Rollout of Functional Yeast Proteins That Replace Eggs
Revyve Brews Up $28M in Funding to Replace Eggs & UPFs with Yeast Protein
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