独SymriseがCellibreに出資、発酵技術に基づく香料イノベーションを食品・飲料市場向けに拡大へ

ドイツの化学品メーカーSymrise(シムライズ)が先月、持続可能な香料イノベーションにおける世界的リーダーシップの強化を目的として、米国の精密発酵企業Cellibreへの戦略的出資を発表しました。

強靭で透明性の高いサプライチェーン構築を目指す


この提携は主に食品・飲料用途向けの天然甘味料、風味調整剤、および芳香化合物の開発に焦点を当てたもの。同時に、将来的な化粧品有効成分への展開も視野に入れています。

Cellibreが専門とするのは、食品、栄養補助食品、化粧品など多岐にわたる産業で使用される天然化合物の生産を目的とした微生物工学。

化粧品や医薬品成分に注力しており、肌のハリと弾力を高めるバクチオール(レチノールの刺激性を弱めたヴィーガン対応の代替成分)、レスベラトロール(抗がん作用が示されているポリフェノールの一種)、ナリンゲニン(抗老化・抗炎症作用を持つフラボノイドの一種)などを開発中です。

同社CEOを務めるBen Chiarelliは、「2017年の創業以来、生物学こそが製造業の未来だという信念を持って事業を展開してきた」とコメント。

「より強靭なサプライチェーンの構築、低コストかつ高品質な製品の提供、そして自然生態系への影響を最小限に抑えるよう取り組んでいる。今回の提携は、当社のアプローチに対する外部からの評価を示すものだ。Symriseのグローバル市場へのアクセスと、香料分野における専門知識を活用していきたい」と話しています。

先進的な精密発酵プラットフォームに投資


この発酵ベースのプラットフォームを統合することで、Symriseは従来の農業サプライチェーンへの依存を減らし、季節や地域による調達の制約が少ない、スケーラブルなバイオものづくり手法へのアクセスを得ました。

精密発酵の技術を用いれば、天然物と全く同一の高純度成分を、従来の抽出法や合成法に比べて高い効率性と持続可能性を保って生産することが可能になります。

バイオテクノロジー関連のプロジェクトリーダーを務めるImke Meyerは、「この投資により、当社のバイオテクノロジー分野におけるロードマップを加速でき、顧客にサステナブルで高品質なソリューションを提供する能力が強化される。Cellibreと連携して専門知識と応用ノウハウ、市場展開力を結集し、新たな成長機会を開拓していきたい」と述べました。

世界市場シェアで第4位の香料メーカーである同社は、クリーンラベル成分の開発におけるイノベーションの推進力としてバイオテクノロジーへ注力する姿勢を示しており、以前にはスウェーデン企業のProbiを子会社化して、持続可能なスキンケア用化粧品成分「SymFerment」を発表。

同時に植物由来成分の活用も進め、ヒヨコ豆とアクアファバの原料やマイコプロテインも製品ラインアップに加えています。

参考記事:
Cellibre ウェブサイト
Symrise invests in Cellibre to scale fermentation-based flavor innovation for food and beverage markets | PPTI News
Symrise and Cellibre Partner to Deliver Precision-Fermented Products Today
Symrise invests in Cellibre to fast-track natural flavours – Food and Drink Technology

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