フランス企業EdoniaがNewrestと提携、施設向け給食サービスでスピルリナ由来のタンパク質を提供へ

微細藻類由来のタンパク質原料を開発するフランスのEdoniaが、業務用フードサービス分野における持続可能なタンパク質の提供に向け、ケータリング企業のNewrestと提携しました。
植物ベースの食生活で不足する鉄分を補う
Edoniaの技術は、微細藻類に最小限の加工を施して、タンパク質、ビタミン、ミネラルを豊富に含んだ風味豊かな褐色の柔らかい粒に変換するもの。
創業後わずか2年余りでラボスケールから拡大し、すでに数千トン分の原料を生産に先立って販売。それに伴い確保している収益は総額1,500万ユーロ(約27億3,000万円)にも上るといいます。
同社の主力製品「EDO」はスピルリナを原料とし、昨年初めて行ったAsterion VenturesとBpifranceからの資金調達を受けて開発されました。
100gあたり27gのタンパク質(9種類の必須アミノ酸をすべて含有)を含み、PDCAASは0.97。鉄分は、牛肉や大豆よりもはるかに多い100gあたり20mgを含んでおり、「現在入手可能な中で最も鉄分豊富な天然食品原料」と称されます。
植物ベースの食生活では鉄分が不足しやすい傾向があるにもかかわらず、微量栄養素を強化した植物性食品は少ないと指摘される中、スピルリナは単体で製品開発の課題を克服できる可能性を秘めた原料です。
さらに、気候フットプリントはCO₂換算で1.95kgと、同量のタンパク質を得られる牛肉の27分の1、大豆ミンチの2.5分の1に過ぎません。
給食サービスでの試験提供を開始
両社の共同プロジェクトはフランスにあるNewrestのセントラルキッチンで始まり、先月だけで1万食が各種施設向けの給食サービスとして提供され、好評を得ました。
提供された料理は、植物ベースのボロネーゼソースに微細藻類の粒を添加し、パスタに添えたもの。微細藻類に加熱や水戻し、解凍の処理は必要ありません。
NewrestのMarc Giraudは、「当社のチームは、扱いやすく風味豊かで、天然の栄養素を豊富に含み、既存のレシピにもシームレスに組み込める微細藻類原料に感銘を受けた」とコメントしました。
この提携の背景には、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)がイソフラボンの含有を理由に、施設給食に特定の大豆製品を使用しないよう推奨したことがありました。ANSESが勧告を出して以降、多くの給食事業者が新たな植物性タンパク質をメニューに取り入れようと画策しています。
「EDO」は通常の植物性タンパク質と異なり、押出成形などの高度な加工や、風味を改善する酵素処理、増粘剤や香料の添加を一切必要としない点で優位性があり、潜在的な解決策となるかもしれません。
EdoniaのCEOを務めるHugo Valentinは、「近年、微細藻類には数多くの利点が認められ、食品産業において有望な分野となっている。Newrestとの提携では、生の状態ですぐに使用でき、かつ栄養価の高い原料を提供したいと考えている」と語っています。
参考記事:
EDO, a plant-based innovation launched exclusively at the central kitchen of Barentin – Newrest Media
Edonia Partners With Newrest to Offer Spirulina Protein in Institutional Catering
Edonia partners with catering group Newrest to expand microalgae-based meals | The Plant Base
Why Edonia is Betting the Farm on Spirulina to Fill the Plant Protein Gap


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