マレーシアのイスラム当局JAKIM、一定の要件に従って生産された培養肉をハラールと認定

マレーシア連邦政府のイスラム開発庁(JAKIM)が、培養肉が特定の基本条件を満たした場合にハラールと認められるとの見解を示しました。イスラム教徒が多数を占める国で公式に出された初の判断となります。

20億人市場への道を開く重要な裁定の一つに


JAKIMが発表した画期的なファトワー(宗教的見解)は、一定の要件に従って生産された培養肉製品をハラールと認め、イスラム教徒が摂取できると規定しました。

ファトワーとはシャリーア(イスラム法)に基づいて発表される公式の見解であり、法的拘束力は持ちませんが、コーランに明確な記載のない事柄に関して、ムスリムにとっての重要な指針を提供します。

今回の決定は、過去数年間にシンガポール韓国で下された同様の判断に続くもの。また、今年6月には世界有数のイスラム法解釈機関である国際イスラム法学アカデミー(IIFA)がムスリムの培養肉摂取を認める裁定を下し、20億人規模の市場への道が開かれています。

代替プロテイン界のシンクタンクGFI APACの代表を務めるMirte Goskerは、「世界最大級のハラール市場の一つであり、多国間で行われる規格基準の策定において影響力を持つマレーシアのファトワーは広範な影響を及ぼし、培養肉の許容に関する新たな世界的合意の兆しを示すものだ」とコメントしました。

GFI APACはJAKIMの審議プロセスにおいて支援を提供しており、直近では9月のハラール国際セミナーなどでも、培養肉の科学的側面について当局にプレゼンテーションを行っています。

ハラールとみなされるための要件とは


JAKIMの規定によると、培養肉がハラールとなるためには、培養の元となる細胞はハラールの慣行に従い屠殺した動物から採取され、培地も同じくハラール対応である必要があります。

さらに、細胞は屠殺していないハラール動物(不浄とされる豚などを除く)由来でなければならないとのこと。つまり、培地成分として使われることの多かったウシ胎児血清(FBS)を用いて生産した培養肉は、ハラールと見なされません。

細胞の成長と分化を促進するその他の生物学的成分(成長因子、ホルモン、酵素、ゼラチンなど)もハラール源から調達したもののみが認められます。

各国の培養肉メーカーも、ハラール対応は重要な機会とみている様子。以前GFI APACが44社を対象に行った調査では、87%の企業がハラール要件への準拠を優先課題に含めていました。一方、製品が認証に適合する方法を示す情報の不足が、依然として大きな参入障壁であるとされています。

Goskerは、「スタートアップ、科学者、規制当局に向けて明確な指針を提供する今回の裁定は、より安全で持続可能なタンパク質の供給体制を構築するにあたり、マレーシアやシンガポールといった先進的な国同士の協力強化の礎を築くものだ」と述べています。

参考記事:
Cultivated Meat Can Be Halal, Declares Malaysia’s Islamic Authority
GFI APAC | LinkedIn

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