英国の3D Bio-Tissuesが、培養肉の生産コストを削減する培地サプリメントで韓国SeaWithとの供給契約を締結

英国に本拠を置くバイオテクノロジー企業3D Bio-Tissues(BSF Enterpriseの子会社)が、培養肉開発を手掛ける韓国のSeaWithとの間で供給契約を締結したと発表しました。基盤技術の市場拡大における重要なマイルストーンとされています。
培地の必要量を30%削減
本契約の契約金額は約30万ポンド(約6,340万円)とされ、3D Bio-Tissuesは独自の細胞培養補助剤「City-Mix」を定期的に供給し、SeaWithの培養牛肉生産を支援します。
この製品は、培養時に添加することで細胞の増殖と密度を向上させると同時に、高価な培地への依存度を低減するような設計が特徴。遺伝子組み換えや動物由来成分を使用せずに生産効率を向上させます。
3D Bio-Tissuesによると、「City-Mix」の使用により培地の必要量を約30%削減でき、大規模な培養肉生産においてコスト低減に大きく寄与します。
既存の細胞株と生産プロセスに適合
2019年に設立されたSeaWithは、藻類ベースのバイオテクノロジーを用いた代替肉を開発しており、「Welldone」ブランドの下で培養牛肉製品の商業化を目指す企業。
これまでにベンチャーキャピタルから800万ドル(約12億6,000万円)以上を調達して、韓国政府が新興フードテックに対する規制負担を最大5年間軽減するために設けた「規制特区」内で事業を展開しています。
共同創業者でCTO(最高技術責任者)を務めるHeejae Leeは、この合意が商業化に向けた意義ある一歩だとし、3D Bio-Tissuesの技術が「当社の高性能な韓牛(韓国原産の小型牛の一種)由来筋幹細胞と極めて高い親和性を示し、生産プロセスの堅牢性と拡張性の両方を支えている」とコメントしました。
同社は、2年前に分子農業を手掛けるアイスランドのORF Geneticsとも覚書(MOU)を締結して、アニマルフリー成長因子の安定供給を確保しています。
韓国は培養肉の重要市場の一つに
3D Bio-Tissuesの親会社BSF Enterpriseは、培養肉、培養レザー、角膜修復などの分野で足場を用いずに培養が行える技術を開発しています。商業規模の培養肉生産を実証する場として、アジア、特に韓国の重要性が増していることを強調し、今回の提携を有望な市場の一つへの戦略的なエントリーポイントに位置付けました。
韓国は、食料安全保障と代替プロテインの推進を目的とした政府施策に支えられ、培養肉に関する規制の整備と産業化を積極的に推進するアジアで有数の国の一つ。同国の代替プロテイン市場は、2030年まで年平均成長率(CAGR)50%以上で拡大する可能性があるとも予測されています。
培養肉に対する国民の関心は依然として高く、コストと味覚が依然として主な懸念事項になってはいますが、消費者調査では韓国人の大多数(約90%)が培養肉を試すことに前向きであると示されています。
参考記事:
South Korea’s SeaWith Partners with 3D Bio-Tissues to Lower Cultivated Meat Costs
BSF Enterprise subsidiary 3D Bio-Tissues lands cultivated meat supply deal with South Korea’s SeaWith | PPTI News


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