オーストラリアのCauldron Fermが、連続発酵プラットフォームの拡張に向け約21.2億円の資金を獲得

オーストラリアの精密発酵企業Cauldron Fermが、シリーズA2ラウンドで1,325万ドル(約21億2,000万円)の調達を行ったと発表しました。
微生物の生産性を最大限に維持し、高付加価値成分を24時間体制で生産する「ハイパー発酵」プラットフォームの拡張資金に充てます。
コスト効率を向上させる連続プロセス
今回の資金調達ラウンドはMain Sequence Venturesが主導し、Horizons Ventures、SOSV、NGS Superが参加。これにより、Cauldron Fermの累計調達額は2,600万ドル(約41億7,000万円)となりました。
同社はこの資金を、バイオ製造インフラに投資する政府機関や企業の需要に応じて、精密発酵技術の拡張を加速させるために活用する予定。また、連邦政府および州政府からのさらなる助成金により、新たな施設の立ち上げも計画しています。
Cauldron Fermは、「産業規模のバイオ製造コスト削減」に貢献したと評価され、『Fast Company』誌の「2026年アジア太平洋地域で最も革新的な企業」リストに選出されました。
その技術は、共同創業者でCEOのMichele Stansfieldが10年以上勤務したアグリテック分野における35年間の研究開発を基盤としたもの。革新的なバイオリアクターの設計と独自の培地処方によって、同社が「ハイパー発酵」と呼ぶ連続発酵プロセスを可能にしました。
この手法では、単位あたりコストを最大50%削減し、生産量を20%増加させながら設備投資を45%削減させられます。
従来のフェドバッチ式* と比較して、目的成分の収穫量および頻度を大幅に増やせ、直接費の大幅な削減が可能。また、設備が小型で電力と水の消費量が少ないことに加えて、連続運転により滅菌頻度が減るため、間接費の削減にもつながります。
* 発酵途中で栄養分を添加して、栄養を枯渇させずに微生物を増殖させる手法。単純なバッチ式生産に比べて培養期間を延ばせ、完全に生産サイクルを止めない連続式に比べて操作が簡単。
50万リットルの大規模施設も計画
近年、世界的にサプライチェーンの脆弱性に関する問題が高まっており、2024年には80%の組織がサプライチェーンの混乱を経験したと報告。
そんな中、マッキンゼーの試算では、世界経済における物理的投入物の最大60%はバイオ製造による供給が可能ともされ、Cauldron Fermはその商業的な実現を目指しています。
同社は国内で唯一、1万リットル規模での精密発酵タンパク質原料の製造認可を受けた企業。ニューサウスウェールズ州にあるデモ施設の徹底的な評価を経て、2024年にオーストラリア保健省の遺伝子技術規制局(OGTR)からピキア酵母(Pichia pastoris)株に関する「DIR200」ライセンスを取得しました。
加えて、クイーンズランド州の別拠点に年間50万リットルの発酵能力を持つ商業規模の施設も計画中。州政府の支援を受けて、食品、栄養補助食品、素材、美容、パーソナルケア、化学薬品、バイオ燃料などの業界に向けた原料を生産し、年間生産量は1,000トンを超える見込みです。
さらに同社は、複数の市場にまたがるグローバルな産業施設ネットワークの構築を見据えており、既存の施設を改修してハイパー発酵システムを導入できるよう、パートナー企業と協力して検討を実施。過去1年間で、スタートアップ企業から多国籍の大手企業まで、6社の新規顧客を獲得しています。
参考記事:
Cauldron Ferm has turned microbes into nonstop assembly lines | TechCrunch
Australia’s Cauldron Ferm Gets $13.25M for Continuous ‘Hyper-Fermentation’ Platform
Cauldron lands US$13.25 million as hyper-fermentation push gathers pace | PPTI News
Cauldron Ferm raises $13.25m in Series A2 funding round | FoodBev Media


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