タフツ大学発のスタートアップDeco Labsが、安価な培地成分となる植物由来のアルブミンを開発

米国のタフツ大学からスピンアウトしたDeco Labsが、培養肉の生産に使われる培地中で最も高価な成分であるアルブミンの、植物由来の代替品を開発しました。
培養肉の低価格化を妨げるアルブミン
動物細胞の増殖を支える栄養素を提供する培地は、培養肉生産において不可欠ですが、工程全体のコストの大部分を占めています。
その中でも最も高価な成分が、動物の血清に最も多く含まれるタンパク質であるアルブミン。アルブミンには、脂肪酸や水の輸送を助け、細胞の成長と分化を促進する働きがあります。
細胞をウシ胎児血清(FBS)などで培養する場合、アルブミンは血清中に含まれていますが、無血清培地を用いた培養ではアルブミンを個別に添加する必要があり、動物の血液から精製されたもの(ウシ血清アルブミンなど)または組み換えアルブミンを使用します。
ただし、ウシ血清アルブミンは高価な上、ロット間のばらつきが大きく、そもそも動物由来であることが大きな欠点。組み換えアルブミンはさらに高価で、性能上の問題もあるといいます。
一部の企業はアルブミンなしで細胞を培養できるよう改良しているものの、特に大規模培養においては効率が著しく低下するのも難点です。
現状、従来のアルブミンでは培養肉1kgの生産につき約100ドル(約16,200円)のコストがかかっており、同じく重要なトランスフェリンと並んで、培養肉製品の低価格化を妨げるボトルネックとなっていました。
The Good Food Institute(GFI)によると、培養肉産業では2030年までに最大1万トンのアルブミンが必要となる可能性があるといい、この量は現在の市場には存在しません。
キャノーラ油製造の副産物を利用
Deco Labsは、さまざまな植物性タンパク質をスクリーニングした結果、石油産業、特にキャノーラ油製造の副産物に解決策を見出しました。
従来、家畜の飼料として利用されてきた菜種の搾りかす(キャノーラミール)をアップサイクルして、植物由来のタンパク質分離物として活用します。
同社が開発した菜種粕由来の「cAlbumin」は、従来のアルブミンよりはるかに低い濃度で効果を発揮。大規模生産の場合、顧客の培地コストを1リットルあたり約0.02ドル(約3円)に削減できるとされています。
牛、豚、鶏や魚類まで、10種類以上の異なる細胞株で検証済みで、ウシ血清アルブミンと組み換えアルブミンの両方を常に上回る効果を示しています。
Deco Labsはさらに、2種類の新たな成分の開発にも取り組んでいます。「cAminos」は、植物の加水分解物から作られたアミノ酸サプリメントで、基礎培地中の合成アミノ酸の代替として使用できます。
もう1つの「pFactor1」は、哺乳類細胞の増殖を促す市販のタンパク質、線維芽細胞増殖因子2(FGF-2)を完全に代替するよう設計された、植物由来の製剤。同社が保有する細胞株(ウシ間葉系幹細胞)を用いた実験では、FGF-2の111%の性能を発揮することが示されました。
同社は現在、Replicator VCが主導するシードラウンドの資金調達を進めており、それによりパイロットスケールへの拡大と「cAlbumin」のGRAS申請を計画しています。
参考記事:
How Deco Labs Uses Oil Industry Waste to Slash the Cost of Cultivated Meat
Tufts Launchpad | BioLabs Thrives on Scientific Community | Tufts Now


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