オーストリア政府、ミートフリーの調理師養成プログラム導入で植物性タンパク質への取り組みを強化
オーストリア労働・経済省(BMAW)が、グリーンエコノミー計画の一環として、3年間にわたるベジタリアン・ヴィーガン食の調理師養成プログラムを今年7月1日から開始すると発表しました。
植物性タンパク質への転換を推奨する食生活ガイドラインの改定から数カ月、植物性食品を推進する新たな取り組みをスタートさせます。
食肉を使わない世界初の調理師プログラム
未来の食分野で活躍できるスキルの習得を目的としたミートフリーの調理師養成プログラムは、同国の労働大臣Martin Kocherが昨年6月に案を発表したもの。
職業訓練諮問委員会などからの反対もあった中、約1年半に及ぶ主要ステークホルダー間の交渉の末起草に至り、専門家委員会が設置されて、プログラムで使用する食品やレシピなどを決定。
その後議論が停滞していたものの、1,600人以上の一般市民が署名した嘆願書が提出されたことを受けて政府が進展を急ぎ、ついに省令への署名に至りました。
100%植物性の食品に限定するのかどうかなど、まだ詳細は明らかにされていませんが、同国の植物性タンパク質への移行の取り組みにおける重要な一歩となります。
制度立ち上げに尽力した、ウィーンでベジタリアン向けレストランを経営するJoachim Ivanyは、ケータリング業界の熟練労働者として採用されたオーストリアの若者の4分の1以上がベジタリアンまたはヴィーガンで、ミートフリーの料理を専門とするレストランは全国に何百とあることを指摘しています。
欧州でも有数の植物性食品市場
ウィーナー・ノイシュタット応用科学大学の調査によると、30代のオーストリア人のうち、ほぼ5人に1人(19%)がベジタリアンであり、5%がヴィーガン。対して、50歳以上では肉を取らない食生活を送る人が2~6%にとどまっており、植物性食品に対する需要は若い年齢層で顕著に高くなっています。
GFI Europeが昨年実施した調査では、オーストリア人の30%が今後2年間で植物性代替肉の消費量を増やしたいと考えていることが明らかになりました。
これまで同国では、オーストリアヴィーガン協会(Vegane Gesellschaft Österreich)が過去12年間にわたり、「Vegucation」プロジェクトを通じて植物由来の製品、マーケティング、メリットについてのトレーニングを行ってきており、2023〜24年度には400人以上の生徒が修了したといいます。
連邦経済会議所(WKO)のケータリング協会会長を務めるMario Pulkerは新たなプログラムの創設を歓迎。「国内のケータリング業界は、トレンドや顧客ニーズに沿う形で常に変化している。ベジタリアン・ヴィーガン料理を教える既存の追加訓練コースは好評で、すでに需要がある」といい、「新しい養成プログラムはこれをさらに強化し、現在の熟練労働者不足に対処する一手となるものだ」と語っています。
参考記事:
養成プログラム概要(ドイツ語)
Austria Govt Doubles Down on Plant Protein Focus with Meat-Free Culinary Training Scheme
New Vegetarian and Vegan Cook Apprenticeships in 2025 – The International
Meilenstein: Österreich setzt auf fleischlose Kochlehre | Vegane Gesellschaft Österreich
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