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ベルギーのスタートアップ企業Koppieがステルス状態から脱却、豆類を原料にした代替コーヒーの商用化を目指す

豆類を使用した単一原料の代替コーヒーを開発するベルギーのスタートアップ企業Koppieが、プレシードラウンドでの資金調達を実施し、ステルスモードから脱却しました。

アクセラレータープログラムを経て市場にデビュー


Koppieは、元ダノンのマーケターDaan Raemdonckとバイオサイエンスの専門家Pascal Mertensが共同で創業。

先日、Nucleus Capitalが主導したプレシードラウンドの資金調達を完了させ、ステルスモードからの脱却を果たしました。Mudcake、Rockstart、そのほか複数のエンジェル投資家も同ラウンドに参加しています。

投資額の詳細は非公開ですが、Raemdonckによると製品の改良、商業規模への拡大、そして最初の顧客獲得といった目標を達成するのに必要な金額とのこと。

同社は、Flemish Institute of Innovation & Entrepreneurshipから40万ユーロ(約6,780万円)の助成金も得ており、今年EUが支援するEIT Food Accelerator Networkの一員に選出されました。

コーヒー業界の抱える課題


現在、気候変動などの影響により、コーヒーの栽培に適した土地面積の減少が問題視されています。

とりわけ人気のアラビカ種は遺伝的多様性が低く、特定の温度帯でしか生育しないため、問題が深刻化。最近の分析によると、2050年までに種の栽培に適した土地の面積が50%減少する可能性があり、これにより生産量は大幅減となる見込みですが、その一方でコーヒーの需要は増加傾向にあり、特に中国やインドのような大規模市場での需要が急増しています。

価格面では、収穫量が年によって大きく変動するため、コーヒー市場は特に不安定なことで知られてきました。しかし、特にプレミアムグレードのコーヒーの場合、価格曲線を平準化すると、価格は上昇の一途をたどっていると専門家は指摘しています。

世界的な需要が年率2%を超える勢いで増加し、収穫量は減少すると予想される中、World Coffee Researchは2030年までに生豆が大きく不足すると警告。

こうした背景を受けてRaemdonckは、「コーヒー企業はサプライチェーンの激しい変動を乗り切るために、革新的なハイブリッドのソリューションが欠かせなくなるだろう」と述べています。

単一の豆類のみを原料としたコーヒーを開発


コーヒーの代替品開発に取り組む企業は増加しており、米国のAtomo CoffeeMinusVoyage Foods、オランダのNorthern Wonder、シンガポールのPreferなどが挙げられます。

これらの企業がコーヒーの風味を再現するために多様な素材を活用しているのに対し、Koppieは単一原料のソリューションを提供するところがポイント。特許出願中の発酵・焙煎技術で、地元で調達した豆類を加工し、従来のコーヒーと同じように挽いて抽出できる製品を開発しています。

味覚評価では、コーヒーの官能評価専門家(Qグレーダー)から100点満点中70点のスコアを獲得し、コモディティコーヒー(一般的に安価で流通しているコーヒー豆)と同列の評価を受けました。

Raemdonckによると、当初から業界と消費者に受け入れられやすいよう、通常のコーヒー豆をそのまま置き換えて使用できる製品を目指しており、これにより原料の選択肢が大幅に制限され、必然的に単一原料製品となったとのこと。

持続可能性、地元での収穫、既知のアレルゲン、製品サイズ、価格など、複数の要素を基に広範なスクリーニングを実施し、加工技術の試験と最終製品の評価を行って、豆類ベースの試作品にたどり着いたといいます。

同社の加工技術が鍵を握っているため、その他の要素や基準は、望みの風味や進出した地域に応じて調整できる点が魅力です。

2026年の商業展開を見据える


Koppieは、コーヒーを置き換えることを目的としていない点を強調しており、代わりに業界と協力してコーヒーの未来を保証する取り組みに注力。当初はB2Bモデルに焦点を当て、ロースタリーと協力して従来のコーヒー豆と豆類ベースの代替品とを組み合わせたハイブリッドブレンドの開発を進めています。

Raemdonckによると、コーヒー企業や関連製品のメーカーから大きな関心が寄せられており、やや甘く苦味が少ない同社の製品をブレンドすると、最終製品の風味をさらに向上させられるとのこと。

また、デカフェ製品を販売するコーヒー企業が元々カフェインの入っていないKoppieの製品を使用する場合、カフェイン除去に費用をかける必要がないため、コストを削減できる可能性もあります。

同社は今年末までに商業規模の生産体制を整え、来年半ばまでに市場テストを実施する予定。デビュー製品は、ヒヨコ豆または黄色エンドウ豆のいずれかをベースとしたものとなる見込みです。

参考記事:
EIT Food Accelerator Network | LinkedIn
Belgian startup Koppie emerges from stealth to disrupt alt-coffee market with single-ingredient offering
Legume is the New Coffee: Meet the Belgian Startup Making Your Latte Without the Bean
Belgium’s Koppie Joins the Growing Coffee Substitute Crowd

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