AIを活用してバイオプロセス最適化を目指すイスラエルのAlgocellが、プレシードラウンドで約4億円を調達

人工知能(AI)を活用したバイオプロセスの最適化に特化したイスラエルのスタートアップ企業Algocellが、プレシードラウンドで280万ドル(約4億1,000万円)の調達を行ったと発表しました。

細胞ベースの生産のスケールアップと効率化を加速するプラットフォームの開発を進めます。

デジタルツイン技術を生物システムに適用


この資金調達ラウンドはGood Company VC(GCVC)がリードインベスターを務め、業界の専門知識を有する複数のエンジェル投資家も参加。Algocellはまた、政府機関のイスラエル・イノベーション庁(Innovation Authority)からも助成金として非希薄化資金を獲得しています。

2023年に設立された同社は、培養肉、精密発酵、バイオ燃料、化粧品などのバイオプロセス開発を最適化する、AI搭載のデジタルツインプラットフォームの構築に特化。

デジタルツインは、物理的なシステムを仮想環境で複製したものであり、異なる条件下でのシミュレーションやテストを行うのに航空宇宙産業や製造業で活用されてきました。しかしながら、生物システムへの適用は、生きている細胞を扱うことによる変動性と繊細さのために難しいとされているのが現状です。

Algocellのプラットフォームは生物学の専門知識と工学、高度な機械学習モデルを活用してこのギャップの解消を目指しており、細胞の成長率、収率、プロセスパラメータ変更時の反応といった結果を予測する機能を提供することで、スケールアップ時のより正確な意思決定を支援します。

従来のモデリング手法は通常、大規模なデータセットを必要としますが、少量のデータからでも実用的なインサイトを得られるような設計を施しました。

細胞成長率や収率の予測機能を強化


Algocellの共同創業者でCEOを務めるOmri Schaninは、「試行錯誤への過度の依存、遅く失敗しやすいスケールアップ、プロセス効率の低さなどの問題を排除するというのは、設立当初からの目標だった」と述べ、細胞ベースの生産におけるより効率的なアプローチの必要性を指摘しました。

同じ課題はまた、精密発酵乳タンパク質から、ヒトインスリンを生産するよう設計された遺伝子組み換え酵母株まで、あらゆる細胞ベース製品に共通しているとのこと。

細胞ベースの生産の潜在的な可能性は過去10年間で劇的な拡大を遂げましたが、ラボスケールから産業規模への拡大は依然として継続的な課題であり、大型バイオリアクター内の細胞の振る舞いを予測すること、一貫した収量を確保すること、コストを管理することといった難題をクリアする必要があります。

新たに調達した資金で、Algocellはチームを拡大し、デジタルツインプラットフォームの予測機能を強化する計画。食品、農業、治療薬、工業材料など複数の業界の製造業者と協力して、商業用のパイロットプログラムを立ち上げる予定です。

今回の投資に伴いAlgocellの取締役会にも参加する運びとなったGood Company VCのArnaud Lorieは、同社の可能性に自信を示し、「初めのミーティングから、彼らの明確なビジョン、意欲、そして長期的な視点は際立っていた。まさにこの分野が必要としている起業家であり、その旅路を応援できるのを誇りに思う」とコメントしました。

参考記事:
Algocell Secures $2.8M in Pre-Seed Funding to Optimize Bioprocessing with AI
Israel’s Algocell raises US$2.8 million to scale AI ‘digital twin’ tech for cell-based manufacturing | PPTI News

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