マイコプロテイン開発のThe Protein Brewery、オランダ政府の投資機関などから約52.5億円を調達

菌糸体タンパク質を開発するオランダのThe Protein Breweryが、シリーズBラウンドで3,000万ユーロ(約52億5,000万円)の資金を確保したと発表しました。

米国で近く商品化、EUでも認可取得の見込み


今回のラウンドは、5年前に実施された2,200万ユーロ(約38億5,000万円)のシリーズAラウンドに続くもの。新規投資家としてオランダ政府の振興機関Invest-NLブラバント開発公社(BOM)、既存投資家からNovo Holdings、Unovis Asset Management、Madeliが参加しました。

The Protein Breweryはこの資金を、独自に開発したマイコプロテイン「Fermotein」の商業的拡大に充てるとしています。

同社はすでに米国でGRAS自己認証を取得、米国食品医薬品局(FDA)への正式な通知も済ませており、顧客企業による新たな製品化が数カ月以内に実現される見込み。

昨年新規食品としての認可を取得したシンガポールでも事業を拡大しているほか、その他の地域でも規制当局の承認が間近に迫っており、販売が認められ次第、順次展開を予定しています。

EUと英国にはしばらく前に申請書類を提出済みで、両地域とも審査の最終段階にあるといい、加えてカナダ、メキシコ、中国への申請も検討中です。

事業基盤の構築が完了、規模拡大して商業化へ


「Fermotein」はタンパク質と食物繊維を豊富に含んだ無味無臭の粉末原料であり、ベーカリー製品、スナック、代替乳製品、プロテインシェイク、機能性食品など多くの製品への配合が可能とされています。

牛肉と比較すると生産に必要な土地はわずか1%、消費する水は5%、排出する温室効果ガスは3%と、低い環境影響も特長です。

発酵生産には、極限環境微生物と呼ばれる好熱菌の一種で、酸性や高温にも耐えられる菌種(Rhizomucor pusillus)を使用。資本投資を抑えつつもコスト効率を高められる手法を開発しました。

菌類に与える栄養には主にグルコースを使用していますが、バイオマス発酵分野で特に進んでいる副産物の活用についても模索中とのこと。

特定の条件に保った発酵タンク内で培養した後は、ろ過、低温殺菌、脱水・乾燥、粉砕の工程を順に経て、袋詰め・出荷されます。

現在はパイロットプラントで1日あたり100kgのマイコプロテインを生産できますが、新たに得た資金で生産能力を拡大して、大規模な商業化に向けた準備を整える予定。

CEOのThijs Boschは、「この資金調達は世界展開の足掛かりとなる」とし、「事業基盤の構築が完了し、タンパク質と食物繊維の転換を主導する準備が整った」と述べています。

参考記事:
The Protein Brewery ready for commercial growth with € 30 million investment
The Protein Brewery Secures €30M to Advance Its Proprietary Mycoprotein
The Protein Brewery Bags $35M from Dutch Govt & Ozempic Maker for Fungi Protein

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