インドネシアのArummi Foods、バリスタチャンピオンも認めるカシューナッツミルクの拡大に向け約3億円を調達

インドネシア・ジャカルタの植物性食品スタートアップArummi Foodsが、カシューナッツミルク製品の国内および東南アジア全域での流通拡大に向け、シードラウンドで200万ドル(約2億9,700万円)の調達を行ったと発表しました。
世界有数の生産量を誇るカシューナッツ
今回の資金調達は、シンガポールのベンチャーキャピタルBeenext、韓国最大級の民間金融グループの子会社Korea Investment Partners、スイスに拠点を置く財団のFondation Botnarが主導しました。
調達した資金は、流通網の拡大、ブランド認知度の向上、そして製品開発に充てられます。
Arummi Foodsは、インドネシアが世界有数のカシューナッツ生産国であることを強調。国内のカシューナッツ農園の大半は小規模農家が所有しており、この食材は地域経済にとって極めて重要なものとなっています。
同社はさらに、乳糖不耐症の高い該当率(子供と高齢者の3分の2以上*1)と、植物性ミルクへの関心の高まり(70%超が2週間に1回以上消費*2)に対応する狙いです。
共同創業者でCEOのNacitta Kanyandaraは、「各地域にはそれぞれ主力となっている植物性ミルク原料があり、中国は大豆、米国はアーモンド、欧州はオーツ麦だ」と説明。
「アジア太平洋地域では、世界生産量の60%以上を占めているカシューナッツが自然な選択肢だといえる。食文化に浸透しており、この地域に最適だ」と述べています。
バリスタチャンピオンを広告塔に起用

Arummi Foodsの現在の製品ラインアップは、クラシックとバリスタエディションの2種類。
前者はカシューナッツ6%、乳化剤・安定剤、合成カシュー・バニラ香料、ビタミン・ミネラルプレミックスを含み、後者はカシューナッツ5.5%に加えて、砂糖、塩、前述の添加物の一部を配合しています。
クリーンラベルを求める消費者への対応についてKanyandaraは、「品質を維持しつつ可能な限り原材料を簡素化するよう、製品の改良を常に行っている」とコメント。
「すべての製品についてインドネシア医薬品食品監督庁(BPOM)の承認とハラール認証を取得し、厳格な品質管理工程を経ているため、安心して飲用してもらえる」と語っています。
タンパク質含有量は低い(100gあたり1g)ものの、同社製品の強みは、配合されている微量栄養素。1本で、ビタミンB2とEの一日推奨摂取量の45%、ビタミンB9とDの35%、カルシウムの30%、ビタミンB12の20%を摂取できます。
バリスタエディションに関しては、昨年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップで1位に輝いたMikael Jasinをブランドアンバサダーに起用。東南アジアにおけるミルクの主要な消費用途であるコーヒーと紅茶の両方に適した製品開発を共同で進めています。
3倍以上の売り上げ増を受けて事業拡大へ
Arummi Foodsは、インドネシア国内の共同製造業者と連携しており、現在の製造能力で10都市への流通を支え、需要拡大に応じて柔軟に規模を拡大できる体制を整えるとともに、コスト削減も実現しています。
200mLパックは小売価格9,900ルピア(約90円)、1Lパックは39,000ルピア(約350円)で、植物性ミルクのカテゴリー内では競争力のある価格設定。
Kanyandaraは「地元での調達と規模の経済により、乳製品との価格差解消に向けた明確な道筋が見えている」としています。
製品のタッチポイントはすでに、650の小売店と3,000のコーヒーショップ・レストランに拡大し、これまでに75万リットル以上を販売してきました。2023〜24年にかけて売上高は3倍以上に伸び、2025年も堅調な成長が見込まれます。
新たな資金を得てさらなる拡大も視野に入れており、代替乳製品市場がまだ初期段階にあるインドネシアのほかにも、東南アジア全域に強い可能性を感じているとのこと。
また、カシューナッツミルクを主力商品としながらも、同時にその強みを生かして消費者の日常的なニーズに応える製品開発の機会も模索しています。
参考記事:
Approved by A Barista Champion, Indonesia’s Arummi Bags $2M to Expand Cashew Milk
*1 Prevalence of lactose intolerance and nutrients intake in an older population regarded as lactase non-persistent – PubMed
*2 Plant-based milk consumers in Indonesia insights
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