Michromaが韓国のCJ CheilJedangと提携、赤色色素をはじめとした精密発酵色素の量産化へ

天然色素の開発を手掛ける米国・カリフォルニア州のスタートアップ企業Michromaが、韓国の食品大手CJ CheilJedang(CJ第一製糖)との提携を発表しました。

食品・化粧品業界向けに、発酵により作られる赤色色素の量産化を共同で進めます。

赤色3号禁止で高まる天然色素のニーズ


人工着色料の段階的な廃止が進む中、食品メーカーと消費者の双方から、健康や地球環境へのリスクと関連しない天然着色料に対するニーズが強まっています。

7月にNielsenが実施した調査では、米国人の68%が食品・飲料製品に使われる人工着色料の排除を支持していると判明しました。この傾向は、米国食品医薬品局(FDA)が今年初め、ラットでの発がん性が確認された赤色3号の使用を禁止したことでさらに強まっています。

FDAの決定は連鎖反応を引き起こし、ネスレ、マース、ケロッグ、ゼネラル・ミルズをはじめとした多くの大手企業が、自社製品から合成着色料を排除する方針を発表。

一方で天然色素の人気はかつてないほど高まっており、その筆頭にあるのがMichromaのような発酵技術を活用したバイオベースの代替品です。

生産に微生物を使用、機能性に優れた代替品に


2019年に設立されたMichromaは、遺伝子操作した微生物(糸状菌)を培養する精密発酵の技術により、クリーンラベルの天然赤色色素を生産。植物由来の原料から作られる肉や飲料、菓子、グミ、ヨーグルト、ベーキングミックスなど、さまざまな用途に使えます。

共同創業者でCEOのRicky Cassiniによると、ストレス下で劣化する多くの植物由来着色料とは異なり、優れたpH安定性(酸性から中性まで鮮やかな発色を維持)と熱安定性(加熱殺菌、焼き上げ、押出成形後も色を保持)を実現。

従来の天然色素では対応が困難な用途への応用が可能で、要求の厳しい食品・飲料・化粧品分野において合成着色料の真の代替品となります。

CJ CheilJedangとの戦略的提携では、パイロットスケールから商業規模への生産拡大と、各市場における規制対応の推進が目的。

Cassiniは、「CJ CheilJedangはアジア(インドネシア、中国、マレーシア、韓国)、米国、ブラジルに製造拠点を有しており、これらを活用することで、世界中の複数の産業に対応できる拡張性と信頼性を備えたサプライチェーンを確保したい」と話しています。

グローバルな規制対応ノウハウを活用


両社の合意内容には、技術検証その他の、一貫した生産・流通に必要なステップが含まれており、Michromaの製品ライン拡大を強力に支援。同社は赤色色素をはじめとして、黄色、オレンジ、白、青などへの多色展開も検討しています。

製品化に向けての目標は、既存の天然色素と同等の価格を実現して、コストが導入障壁となっている状況を解消すること。

その後、規模の拡大と工程の最適化に注力し、市場で最もコスト効率が良く、優れた安定性と機能性を提供する天然色素としての地位を確立する狙いです。

この提携はまた、規制関連の対応をも後押しするもの。米国では、食品に用いる着色料はFDAの色素添加物申請(CAP)に基づく承認が必要です。

EUでは欧州食品安全機関(EFSA)の食品添加物申請プロセスを通じた承認、アジアとラテンアメリカでは各国の食品安全機関が承認を行っており、CJ CheilJedangのグローバルな規制対応ノウハウが、これらのプロセスを効率的に進める助けとなることが期待されています。

参考記事:
Michroma, CJ CheilJedang to Scale Fermented Natural Colours, Starting with Red Dye
Michroma and CJ CheilJedang partner to scale commercial production of natural colors via fermentation
Michroma and CJ CheilJedang to scale sustainable bio-based colorants – World Bio Market Insights

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