グローバル展開を目指す英国のHoxton Farms、シンガポールで培養豚脂肪の認可申請を実施

英国・ロンドンの培養肉企業Hoxton Farmsが、培養豚脂肪の認可申請書類をシンガポール食品庁(SFA)に提出したと発表しました。世界各国で計画している申請手続きの第一歩となります。
英国やアジアへも近く申請を計画
シンガポールではすでにGOOD Meat、Vow、PARIMAの培養肉製品が新規食品として認められており、そのほかにも多くの企業が申請を行っています。
Hoxton Farmsの共同創業者でCEOを務めるMax Jamillyは、SFAへの申請について「現在ではガイドラインが明確化され多くの先例もあるため、プロセスが予測しやすいものになり、成功の確度が高まっている」と指摘。
同社はシンガポールで2026年末から2027年初めにかけての認可取得を見込んでおり、英国、北米、その他のアジア諸国での申請も計画しているといいます。
JamillyとEd Steele(COO)が2020年に設立したHoxton Farmsは、細胞生物学、機械学習、そして独自設計のバイオリアクターを組み合わせて、豚の間葉系幹細胞から分化させた本物の豚脂肪を培養。この原料は植物性タンパク質と混合、あるいはスープ、ソース、ハイブリッド豚肉製品などに機能性原料として直接使用できます。
少量でも料理を一変させ得る脂肪に注力
Hoxton Farmsは現在、ロンドンのパイロット施設で500リットルのバイオリアクターを稼働させながら、新たな生産拠点の設置も計画中。来年建設され2027年初頭に稼働予定の新施設は、1万リットル規模の生産能力を有し、商業規模への移行を可能にする見込みです。
小規模生産では高コストにとどまっているものの、同社の技術はコストを急速に削減するよう設計されており、大規模生産では優れた品質を維持しつつ、従来の豚脂と競合可能な価格を実現できるとのこと。「拡張により、大手食品メーカーからの膨大な需要に対応できるようになる」としています。
同社が筋組織ではなく培養脂肪に注力する姿勢は、Mission BarnsやMosa Meatなど多くのスタートアップ企業と共通する戦略的アプローチを反映したもの。脂肪は少量でも料理を一変させ、食品を美味しくする素材であり、筋肉に比べて容易かつ迅速に培養できるといいます。
加えて、環境面の利点があるのも魅力。養豚は言うまでもなく、パーム油やココナッツ油といった植物性脂肪も森林破壊の一因となり、生物多様性の維持や持続可能性の観点から問題視されてきました。
同社は現在、B2Bで事業を展開し、製品の官能特性と機能性を向上させたい食品メーカーや植物性食品のブランドに対して培養脂肪を供給しています。
ここ最近はアジア太平洋地域への関与を深めており、住友商事や三井化学とも戦略的提携を実施。「日本を最優先しているが、規制当局が科学的根拠に基づいた積極的なアプローチを取っているタイ、韓国、香港にも注視している」とJamillyは話しています。
英国内では、英国食品基準庁(FSA)が今年開始した、培養肉に関する規制のサンドボックス制度に参画。年内にFSAへの認可申請書類を提出する予定で、食品メーカー向けのB2B供給と、シェフやレストランとのコラボレーションによるイベント実施を検討中です。
参考記事:
Hoxton Farms submits regulatory dossier for cultivated fat in Singapore | New Tech Foods
Hoxton Farms files for Singapore approval of cultivated pork fat, eyes global expansion | PPTI News
Exclusive: Hoxton Farms Files for Singapore Approval of Cultivated Pork Fat


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