ベルギーのThose Vegan Cowboys、2026年のアニマルフリーカゼイン発売に向け約11.5億円の資金調達に成功

ベルギーに拠点を置く精密発酵企業のThose Vegan Cowboysが、代替乳製品の原料となるアニマルフリーカゼインの生産拡大に向け、625万ユーロ(約11億5,000万円)の調達を行ったと発表しました。

2026年の目標として、米国での規制当局の認可取得と市場化を掲げています。

動物由来原料の投入なしに同等以上の機能性を発揮


植物性代替肉のブランド「The Vegetarian Butcher」の創業者としても知られるJaap KortewegNiko Koffemanの2人が2020年に立ち上げたThose Vegan Cowboysは、乳製品における主要な機能性タンパク質であるカゼインを、動物を使用しない精密発酵により生産。伝統的な畜産から微生物発酵への移行を推進しています。

今回の調達ラウンドは、地図データや交通サービスを提供するオランダ企業TomTomの創業者、Pieter Geelenが主導し、Productheroの創業者Wouter Veenboerをはじめとする複数の起業家も出資しました。

この資金調達により、従来の乳製品と生物学的に違いのないチーズ、ヨーグルト、チョコレートの代替品を商業化に向けて推進する上で、必要なリソースを確保できたとしています。

Those Vegan Cowboysの精密発酵カゼインは、溶けやすさや伸びの点で従来品と同等どころかそれを上回る特性を示し、5倍も伸びやすく融点が低いとのこと。

社内の試算によると、従来の乳製品と比較して生産に由来するCO₂排出量を最大95%削減でき、同時に土地と水の使用量も5分の1ほどに抑えられます。牛に頼らないため、もちろんメタンの排出はありません。

数カ月以内にクラウドファンディングの開始を計画


「5年前、精密発酵による牛を使わないチーズというアイデアには1%の可能性しか見出せなかったが、今この大胆な計画が現実となった」とThose Vegan Cowboysはコメント。

製品の発売時期については公表されていませんが、同社は自社原料の安全性について米国でFDA GRASの取得を目指しており、まず米国市場への投入を模索しているようです。

また、並行してオランダで消費者向けの試食イベントを企画する予定。オランダでは先日策定された行動規範により、EU加盟国としては初めて、販売がまだ認められていない精密発酵食品の試食提供が可能となりました。

精密発酵技術はニッチなスタートアップ企業を超えて注目を集め始めており、従来の乳製品メーカーも同社の技術に関心を寄せています。

同社は今年初めにドイツの乳業大手Hochland Groupと提携して、さまざまなチーズ製品で精密発酵カゼインの大規模な試験を実施。今回の調達ラウンドでは、オランダのチーズ大手Westland Kaasを含む乳業大手2社からも出資を得ました。

機関投資家に加えて一般の消費者からも広く投資を募るべく、来年初頭にクラウドファンディングを開始する計画。初期の募集枠は限定されており、ウェブサイトから登録を行った人に対して条件や参加方法に関する詳細が先行通知されます。

参考記事:
Those Vegan Cowboys Raise €6.25M to Commercialize Precision-Fermented Casein
Those Vegan Cowboys Milks $7.3M in Funding to Launch Animal-Free Casein in 2026
Cow-free dairy startup Those Vegan Cowboys closes €6.25 million funding round as it eyes crowdfunding campaign | EU-Startups
Cowboys with capital: Those Vegan Cowboys rope in €6.25 million for animal-free dairy | PPTI News

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