スイスのSeprify、着色料の二酸化チタンをセルロース材料に置き換える技術で約24.8億円の資金を確保

スイスのバイオマテリアル企業Seprifyが、食品・化粧品分野の二酸化チタンを代替するセルロース系素材の規模拡大を目指し、1,225万スイス・フラン(約24億8,000万円)の資金調達に成功したと発表しました。
家具大手のイケアからも投資を引き出す
Seprify(旧称:Impossible Materials)は、2022年にケンブリッジ大学とフリブール大学発のスピンアウト企業として、Lukas SchertelとOliver Polcherにより設立されました。
消費財業界が製品に含まれる環境負荷の高い着色料の影響に目を向ける中、バイオベースの代替素材を開発するスタートアップ企業の一つです。
世界で最も豊富なポリマーであるセルロースを活用し、従来の白色顔料や食感改良剤に代わる持続可能で生分解性の代替品を開発。これにより、製造業者は二酸化チタンや化石燃料由来のポリマーからの脱却が可能になります。
今回のシリーズAラウンドでの資金調達を経て、Seprifyはパイロットスケールでの検証段階から量産体制へと移行を果たしました。
今ラウンドには、Inter IKEA Group(スウェーデンの家具販売大手イケアの持株会社)、Una Terra Early Growth Fund、チューリッヒ州立銀行(ZKB)、Cambridge Enterprise Ventures、Kickfundなど、循環型経済への取り組みに賛同する投資家が参加。
Inter IKEA GroupのRobert Carlekeは、「イケアでは、既存の製造・リサイクルシステムに適合しつつ、環境負荷の高い素材を代替できる現実的なソリューションを求めている。Seprifyのセルロースは、コーティングや表面仕上げのような特定の用途にとどまらず、産業利用に必要な一貫性と運用性を備えた素材として、十分な検討に値する成熟度に達している」と評しています。
EUでは使用が禁止された二酸化チタン
白色顔料として広く使われてきた二酸化チタンは、遺伝毒性の懸念を理由に、欧州連合(EU)では2022年に食品、化粧品、塗料などの用途における使用が禁止されました。
その他の国では使用が認められているものの、多くの企業が代替品を模索しており、チョコレート大手のマースは昨年「Skittles」の原料に含まれていた二酸化チタンを除去しています。
白色顔料の成分は、従来の製造方法では石炭燃焼や硫酸塩を原料とするプロセスが用いられ、多大なエネルギーを消費し大量の排出と化学廃棄物を生み出すため、地球環境に悪影響。
Seprifyは、産業副産物、パルプ、農産繊維、リサイクル製品からセルロースを調達し、独自の抽出・分離・精製プロセスを経て代替色素を製造しています。
このイノベーションは、コガネムシ上科Cyphochilus属の甲虫の、外骨格を覆う薄い鱗片層から着想を得たもの。この鱗片層はあらゆる波長の光を散乱させ、明るい白色の輝きを発します。
不均一な鱗片は粗く多孔質の構造をしており、光を反射・拡散させる性質を持っていますが、Seprifyはセルロースをベースとする微粒子のサイズを調整することで、光の散乱を最適化しました。
同社の主力製品の一つは、食品グレードの白色色素で、二酸化チタンの代替品として機能する「SilvaAlba」。植物性ミルク、コーヒークリーマー、菓子類、ペットフードなどの製品に使用できます。
また、紫外線を遮断する二酸化チタンの特性を再現してパーソナルケア製品のSPF値を高める「SilvaLuma」や、塗料、インク、コーティング剤向けで機能性を発揮する「SilvaFolia」も製造しています。
100社を超える企業との提携を実施
Seprifyは、今回の資金調達により、既存の製造パートナーを通じて年間数百トン規模の商業生産体制を構築し、重点市場における商業展開を行うとともに、将来の大規模な生産能力構築に向けたエンジニアリング作業を推進していく予定です。
CEOのSchertelによると、当面の最優先事項は、大手顧客が求める運用基準を満たし、安定した品質と信頼性の高い供給を実現すること。
短期的には日焼け止めを含む化粧品やパーソナルケア製品、食品、ペットフードなどへの供給を行いつつ、コーティング剤、インク、プリンテッド・エレクトロニクスといった量が求められる用途への対応も進めていく考えです。
同社はすでに、欧州のパーソナルケア市場向けに「SilvaLuma」を大規模展開しているGrolman Groupや、食品・飲料業界向けに「SilvaAlba」を供給するOterraなど、多分野にわたる100社以上の企業と提携。これらの協業を通じて、同社のプラットフォームの技術成熟度レベル(TRL)は7~9と検証されています。
バイオベースの代替色素は投資家の注目を集めており、昨年11月には、精密発酵による赤色色素を開発するChromologicsが700万ユーロ(約12億9,000万円)を調達しました。
今年に入っては、Octarine Bioが500万ユーロ(約9億1,900万円)を確保。Seprifyと同じくケンブリッジ大学発のスピンアウト企業でセルロース由来の構造色を作り出すSparxellは、420万ユーロ(約7億7,200万円)の資金調達を完了しています。
参考記事:
Seprify raises €13.4M to scale cellulose that replaces titanium dioxide in food and cosmetics — TFN
Swiss Startup Seprify Secures $15.7M to Replace Titanium Dioxide with Cellulose Materials
Inter IKEA Group backs Seprify’s €13.4M Series A to scale cellulose materials platform – Tech.eu
Seprify scales cellulose platform to industrial supply as bio-based titanium dioxide alternative gains traction


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