新規食品を規制サンドボックスの対象に —大手食品企業などで構成される業界7団体がEUに要請

欧州連合(EU)がバイオテクノロジー法(Biotech Act)に基づく規制のサンドボックス* 制度から新規食品を除外した決定に対して、食品業界、特に業界の最大手企業を代表する団体から強い反発が起こっています。
* 新技術の実証と社会実装を促進するため、現行の規制が適用されない例外を一時的に設ける制度。
7団体が共同声明を発表
EUは昨年12月に、初のバイオテクノロジー法案を公表。この法案は、以前から培養肉や精密発酵タンパク質を含む新規食品(Novel Food)の承認を加速する目的で制定が提案されていたものでしたが、年末の発表時には、規制サンドボックス制度の対象から新規食品が唯一除外されていました。
同法では「これまでの経験上、ある種の新規食品は、その受容性に関して、さまざまな消費者層の間で倫理的または文化的な懸念を引き起こすことが示されている」と述べていますが、食品業界の主要プレーヤーはこの除外決定に対して反発。
先月末、食品・バイオテクノロジー関連の7団体が共同声明を発表し、新規食品がサンドボックス制度の恩恵を受けられるよう、EUに強く要請しました。
7団体のうちの1つは、ネスレ、コカ・コーラ、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)、マース、ダノン、クラフト・ハインツといった数多くの巨大企業が加盟する、欧州最大の食品業界団体FoodDrinkEurope。
そのほかには、EuropaBio、Food Fermentation Europe、EU Agri-Food Biotech Alliance、EHPM(欧州健康食品製造業者協会連合)に加えて、EU自身から資金提供を受けるFood Supplements Europe、EIT Foodが含まれます。
規制に矛盾を生じさせ、一貫性を弱めるとの指摘
共同声明では、「『倫理的または文化的な懸念』に基づいて新規食品を排除することは、科学的な安全性評価に基づいて認可を行うというEU食品法の規定に合致しない」と述べ、バイオテクノロジー法の枠組み内に「内的な矛盾」を生じさせていると指摘しました。
同法はそもそも、代替プロテイン分野において課題となっている、認可プロセスの迅速化が目的。規制当局と申請者間の事前協議を強化するため、申請者への助言提供が拡充された側面もあります。
しかしながら、新規食品(Novel Food)の枠組みは革新的な食品成分の承認における主要な規制経路であるため、この分野をサンドボックス制度から除外することは、「バイオテクノロジー法案が促進しようとしている数多のイノベーションをEUの食品業界が試験・改良する機会を奪う結果になる」と業界団体は指摘。
また、新規食品に該当しない限り、同じバイオテクノロジーを活用する食品用酵素、添加物、加工助剤などの構成要素にサンドボックスの適用が認められていることは、法案の内容に「意図的に矛盾を導入した」ものと主張しました。技術の性質や複雑さではなく、最終製品の規制上の分類のみに基づくこのような区別は、規制枠組みの一貫性を弱めてしまうとしています。
サンドボックス制度は、申請者と当局間の事前協議のための透明性の高い枠組みを提供し、必要なデータの明確化や正式な申請手続き開始前のリスク評価を促進。不確実性を減らして回避可能な失敗を防ぎ、コストの削減につながるという点で極めて重要です。
EUの元加盟国である英国は、サンドボックスがいかに新規食品産業の発展を促進できるかを示す好例。同国では、2025年3月に細胞性食品(培養肉・シーフード)を扱う8社が参加するプログラムがスタートし、その成果として、新規食品の承認に関する国内初の安全性ガイドラインが公表されました。
英国食品基準庁(FSA)は、プログラムの期限である2年後までに、2つの製品についての安全性評価を完了させると約束しています。
参考記事:
FoodDrinkEurope | LinkedIn
World’s Largest Food Companies Call on EU to Include Novel Foods in Regulatory Sandboxes


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