「未来の食」を開拓するフランスの発酵プロジェクト、政府から約35億円の資金を得て次のフェーズへ

フランスにおける未来の食分野で発酵技術の産業化を目指す官民連携の研究イニシアチブ「Ferments du Futur」が、政府機関から追加で1,910万ユーロ(約34億9,000万円)の資金投入を受けました。

これにより、3つの戦略的優先事項を軸とした新たなフェーズが始動します。

分散型プラットフォームの強化へ


フランス国立研究機構(ANR)は、国家投資計画「France 2030」の一環として、2026〜28年の期間を対象に「Ferments du Futur」プロジェクトへ新たな資金を追加投入しました。

このプロジェクトは、フランス国立農業・食料・環境研究所(INRAE)とフランス食品産業協会(ANIA)の支援を受けて2022年に設立され、ダノンベル・グループVerleyStanding Ovationなど25の民間企業を含む40余りの機関で構成されるもの。

枯渇が進む地球資源を過度に消費することなく、世界人口が増加する中で健康的な食生活への転換に貢献することを目指しています。

予算としては、2022年12月からの10年間で総額1億ユーロ(約182億円)が割り当てられており、そのうち4,830万ユーロ(約88億1,000万円)はANRが拠出し、残りは民間投資家が負担します。

プロジェクトの第1フェーズでは、オルセーにあるイノベーションセンター「CI2F」や提携する研究所に最先端の設備を導入するための投資が行われました。ここまでの成果は、来年初頭に公表される予定です。

第2フェーズでは、新たな資金の一部を投じて、分散型プラットフォームの能力強化と研究施設の整備を行う計画。その中で「自動化およびデジタル化」、「固体発酵」、「発酵後の工程の最適化」の3つに重点を置いています。

本プロジェクトはまた、先日麦芽メーカーのSoufflet Maltと提携し、発芽穀物と固体発酵技術を用いてカカオの代替品を生み出す取り組みに着手しています。

第1フェーズで一定の成果を挙げる


「Ferments du Futur」の第1フェーズにおける主要な優先事項の一つは、官能特性の最適化でした。チームはエンドウ豆由来製品の香りを高めるため、さまざまな発酵プロセスの試験を実施。その結果、フルーティーな香りから魚のような香りまで、多種多様なバリエーションが生み出されました。

香りは消費者に受け入れられるかどうかの重要な指標になるため、この取り組みは重要です。「発酵によって植物性食品の香りを制御できれば、食生活により取り入れやすくなるだろう」と、ディレクターのDamien Paineauは述べています。

香りを構成する分子の分析に、チームはガスクロマトグラフィー質量分析法と官能評価を組み合わせた手法を用いました。さらに、食品を口に入れた際の食感を評価するべく、トライボメーター(摩擦・摩耗試験装置)の導入を計画しています。

腸内環境の健康も、プロジェクトの焦点の一つ。ヒトの腸内細菌叢には約40兆個の細菌が存在し、総重量は数百gに及びます。これらは発酵食品に含まれる微生物の存在によって変化し得るもので、その相互作用はin vitro(試験管内)で研究されていますが、こうした実験装置には複雑な操作や入念なメンテナンスが欠かせません。

本プロジェクトでは、この作業を簡素化するのに「BioLector XT」という装置を使用。2mLのマイクロ発酵プレートを用いることで、最大48件の発酵試験を同時に実施できるようになり、特定の腸内細菌に有益な効果をもたらす、植物性発酵食品由来の微生物株の組み合わせを特定することに成功しました。

この研究を補完するものとして、微生物の空間的な配置や相互作用を研究者がより深く理解できるよう、3Dプリンターも今後利用可能にする予定です。

参考記事:
Ferments du Futur | LinkedIn
A new impulse for Ferments du Futur​ – Ferments du Futur
French Future Food Fermentation Project Enters Next Phase with $22M in Govt Funding
Ferments du Futur secures fresh France 2030 funding to expand fermentation research | PPTI News

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