特殊油脂メーカーAAK、マレーシアで乾式分画技術を用いたココアバター代替脂の生産へ

スウェーデンの特殊油脂メーカーAAKが、ココアバター代替品の主原料となるパームミッドフラクション(PMF)を生産するため、マレーシアで乾式分画技術の商業規模での導入を進めると発表しました。

パーム油を分画して得られる固体脂を生産


植物性油脂や特殊油脂を製造するスウェーデンのAAKは、1年前にマレーシア企業Kuala Lumpur Kepong Berhad(KLK)との合弁事業を開始し、特許技術を用いた商業規模生産を行うため、3年間で3億スウェーデン・クローナ(約47億4,000万円)の投資を決定しました。

現在、合弁会社NURA Specialty Oils and Fatsの下、マレーシア・ジョホール州に工場の建設を進めており、特殊パームミッドフラクション(PMF)を生産する乾式分画プロセスの導入を行う予定です。

PMFとは、中間的な融点でパーム油を分画して得られる固体脂成分のことで、ココアバターと非常に似た性質を持つため、チョコレートや菓子製品向けの高品質なココアバター代替品の製造に不可欠な原料となります。

NURAの工場は、ココアバター代替脂(CBE)の製造に不可欠な、持続可能かつ高純度な原料へのアクセスを上流段階で強化するよう設計されました。これにより、AAKは供給基盤を拡大してレジリエンスを高めるとともに、代替油脂事業における長期的かつ収益性の高い成長を支えることができます。

同施設の建設は8月に開始され、2028年から稼働を本格化させていき、2029年にフル稼働を計画。CBE業界におけるリーダーとしての地位をさらに強固にすると同時に、独自の分画技術を生かしてほかの事業領域でも成長を促進する狙いです。

AAKで工程開発責任者を務めるJeppe Lindegaard Hjorthは、「この技術を研究プロジェクトから商業生産へと移行させることは当社にとって重要なマイルストーンであり、長期的なイノベーションと部門間の密な連携の組み合わせによって、より効率的で持続可能な生産に向けた新たな機会を創出できると実証するものだ。NURAはその最初の展開事例で、この技術の将来性に大きな可能性を感じている」と語っています。

気候変動に対応する代替ココアバター


AAKが代替ココアバターへの注力を強めている背景には、チョコレート業界が気候変動という難題に直面している現状があります。

ダークチョコレートの生産に伴う温室効果ガス排出量は、牛肉を除くあらゆる食品の中で最多。主要生産国であるガーナとコートジボワールにおいて、森林破壊のそれぞれ94%と80%は、カカオ産業が直接的な原因となっています。

その一方では、異常気象によってカカオの収穫自体も壊滅的な打撃を受けており、2024年にはカカオ価格が史上最高値を記録しました。世界のカカオの木の3分の1が絶滅の危機に瀕するともいわれる中、ココアバターなどの原材料の供給も脅かされています。

AAKは、チョコレートを作る際のココアバターを補完、または完全に代替してコストを削減できる植物性油脂「ILLEXAO」シリーズを展開しています。この油脂は、チョコレートと同じ成分構成を持ちながら、賞味期限の延長や、口溶け・食感の向上を実現。

融解・結晶化特性のカスタマイズも可能で、ブルーム現象(温度変化でチョコレートの表面が白く粉を吹いたようになる現象)に対する安定性や、ダークチョコレートにおける風味の放出促進、さらにはコンパウンドチョコレートにおける乳脂肪の代替といった利点を提供します。

同社はまた、CO₂に熱化学プロセスを施して油脂へと変える技術を持つスタートアップ企業Savorに出資しており、代替乳製品やベーカリー製品向け原料の共同開発を進めています。

参考記事:
AAK and KLK break ground for Nura specialty palm fractions plant in Malaysia | AAK
AAK to Produce Cocoa Butter Alternatives with Dry Fractionation Tech in Malaysia
AAK takes patented fractionation technology to commercial scale at NURA | PPTI News

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