イスラエルのSavorEatが、3Dプリントした植物性パティを米デンバー大学で提供開始
イスラエルのフードテック企業SavorEatが、植物由来の原料を使用したパティを3D印刷するロボットを米・デンバー大学構内に設置しました。
カスタマイズした代替肉を学生向けに提供
SavorEatのロボットシェフは、注文を受けてから3分足らずで、食事客の好みに合わせた植物性パティを焼き上げ。利用者は、食品に含まれるタンパク質、脂肪、セルロース、水分、風味、そしてサイズまでも自由に設定することができます。
現在、デンバー大学の2つのキャンパスに3台が設置され、SavorEatのエンドウ豆をベースにした代替肉を用いたハンバーガーを学生に提供しています。
この試みは、デンバー大学の食堂運営を統括する、フードサービス大手Sodexoとの提携の一環で行われたもの。両社は2021年に提携を発表し、当初は2022年にロボットシェフを試験的に導入する予定としていました。
SavorEatは近日中に、音声機能を備え、現在の約2倍となる1時間に19枚のパテを作ることができる、新世代のロボットシェフ2.0を発表する予定だといいます。
米国・英国で植物性食品が大学キャンパスに進出
Sodexoは、2025年までにCO₂排出量を34%削減するための取り組みとして、同年までに大学キャンパスで提供するメニューのうち50%を植物性食品に置き換える計画を発表。今回のSavorEatとの提携も、この延長線上にある動きとなります。
SavorEatは2021年にテルアビブ証券取引所に上場を果たしており、累計1,800万ドル(約26億5,400万円)近い資金を調達。昨年、イスラエルの大手ケータリング会社Yazrin-Sellaとの提携や、ハンバーガーチェーンのBBBでロボットシェフの試験導入などを行っていますが、米国での導入事例はこれまでありませんでした。
また、植物性食品が大学の食堂メニューに進出しているのは、米国だけではありません。つい先日、英国の650人以上の学者や活動家が、気候変動に対処するため100%ヴィーガンのケータリングメニューに切り替えることを求める公開書簡を、英国の大学に提出。バーミンガム大学、ケンブリッジ大学など7校はこれを受け、100%植物性メニューの導入を決定しました。
植物性食品 × AIの可能性
植物性食品セクターでは、未来を見据えた人工知能(AI)技術の活用が進んでいます。米国では今月初め、食品専門家とAI・機械学習の専門家が植物性代替肉の食感を最適化するプロジェクト、「GreenProtein AI」を共同で立ち上げました。
チリのフードテック企業NotCoは、2015年からAIと機械学習を活用して、動物性食品に代わる植物性の最適な代替品を探索。「Giuseppe」と名付けられた特許取得済みのAI技術は、同社の代替ミルク、マヨネーズ、ハンバーガーを生み出す頭脳となっています。同様に、シンガポールのHoww Foodsは、代替卵パウダー「Hegg」の製造にAIを活用しています。
さらに、AI企業と提携する企業やブランドも増加。「Babybel®」を擁するフランスの大手チーズメーカーBel Groupは、米Climax FoodsのAI技術を導入して、自社製品の植物性バージョンを開発。食品大手のダノンは、米国のAI企業Brightseedと提携し、植物の持つ隠れた栄養素や化合物の探索を進めています。
また、AIをマーケティングツールとして活用するユニークな企業も。米国のヴィーガンチーズのメーカーPleese Foodsは先月、チーズが木からなっているユーモラスな画像を生成し、自社のAI技術をアピールしていました。
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