母乳を培養するフランスのNūmi、研究開発とチームの規模拡大へ向けプレシードラウンドで約5億円を調達
細胞培養した乳腺から母乳を生産するフランスのスタートアップ企業Nūmi(旧称:MUMilk)が、プレシードラウンドで300万ユーロ(約4億9,200万円)の資金調達を行ったと発表しました。まず米国での認可取得を目指し、その後欧州とアジアでも申請を行う予定です。
前例のない方法で人々の健康を促進
Eugénie-Pezé-HeidsieckとEden Banon-Lagrangeにより今年設立されたばかりのNūmiは、「女性の体内で起きている現象を厳密に模倣する」プロセスで乳腺の発達に最適な環境を再現し、必要な栄養素を与えて乳児用の母乳を生産します。
今回のラウンドでは、Heartcore CapitalやHCVCが参加。HCVCを創業したAlexis Hossouは、「当社は、健康と食品製造の接点で起きるイノベーションを熱烈に支持している。Nūmiの技術は、母乳へのアクセスに革命をもたらし、前例のない方法で人々の健康を促進することとなるだろう」と語っています。
Nūmiは今回の調達により、野心的なプロジェクトに最適な人材の採用によるチームの拡大に加え、規制認可取得と商用化に向けた前進を目指すとのこと。
母乳に含まれる成分は1,500以上
Nūmiは、既存の母乳の代替品(主に牛乳がベース)は「栄養面で乳児の成長には適していない」と主張。さらに、乳タンパク質に不耐性を示す乳児も多く、より本物に近い代替品開発が待たれる状況だといいます。
体質的に母乳での育児ができない女性は5~10%程度といわれますが、母乳の分泌や栄養分の不足といった問題を抱える女性はさらに多いとも。
米国では、生後3カ月まで母乳のみで育児を続ける女性は半数に満たず、米国小児科学会(AAP)が推奨する生後6カ月の時点では4分の1しかいません。
2019年に552人の母親を対象とした調査では、約70%が母乳育児における困難(主に最初の1カ月以内)を経験していることが分かりました。近年では初めからミルクで育てる女性も多く、Nūmiはこのような母親たちすべてに技術で対応し、本物に限りなく近いソリューションを提供したいとしています。
同社のチームによると、母乳は1,500以上の成分から構成されているとのこと。同じく母乳の代替品を開発するイスラエルのWilk Technologiesや米Helainaが、ラクトフェリンなど特定のタンパク質の生産に焦点を当てている一方、Nūmiは数多くの成分を可能な限り再現しようと努めています。
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