イスラエルのImagindairy、米国でアニマルフリー乳タンパク質のFDA認可を取得
イスラエルのフードテック企業Imagindairyが、精密発酵によるアニマルフリーの乳タンパク質について、米国食品医薬品局(FDA)からの正式な「GRAS」ステータスを取得しました。
米Perfect DayとイスラエルのRemilkに続き、乳タンパク質では3例目となります。
麹菌の精密発酵によりβ-ラクトグロブリンを生産
Imagindairyは、テルアビブ大学での15年以上にわたる研究で開発された革新的な人工知能(AI)技術とバイオテクノロジーをベースに、Strauss Groupのフードテック・インキュベーター、The Kitchenの支援を受けて2020年に設立されました。
古来から味噌の製造などに使われてきたニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)を用いて、乳清(ホエイ)タンパク質の一種であるβ-ラクトグロブリンを生産。プロテインパウダーの形で世界中の乳製品メーカーに供給を行っており、チーズ、ヨーグルト、アイスクリームなど、さまざまな乳製品への使用が検討されています。
味や口当たり、機能性において牛乳を用いたものと同じ食品の製造に役立つといい、栄養価の面では、牛乳に含まれるコレステロール、乳糖、ホルモンなどの好ましくない成分を含まないという点が魅力。世界的な食品大手のダノンも、昨年同社への出資を行っています。
このβ-ラクトグロブリンについて、同社は昨年8月に、初期判定としてのGRAS自己認証(self-affirmed GRAS)を取得。これにより米国内での販売が可能な状態となっていましたが、今回の正式な「GRAS Notice」取得で、さらに安全性に関してFDAのお墨付きを得られました。
同社CEOのEyal Aferganによると、すでに世界中の企業と取引を進めており、年内には同社のプロテインパウダーを使った製品が店頭に並ぶ見込みとのこと。
精密発酵原料のGRASステータス取得状況
これまでにFDAの「GRAS Notice」を得ている精密発酵原料としては、米国のPerfect Dayが2020年、イスラエルのRemilkが2023年に、Imagindairyと同じβ-ラクトグロブリンで認可を取得。
米The EVERY Companyは、卵白タンパク質(2021年、2023年)、およびタンパク質分解酵素のペプシン(2023年)でそれぞれ認可を受けました。
シンガポールのTurtleTreeは、乳児用粉ミルクの栄養を強化するラクトフェリンで自己認証まで取得しており、近くFDAへの申請も行う予定としています。
参考記事:
US Food and Drug Administration approves ImaginDairy non-animal milk proteins
Foodtech startup Imagindairy receives FDA approval for animal-free milk proteins
GRN No. 1145 β-lactoglobulin produced by Aspergillus oryzae strain Ao_st0002
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